群馬よみうり
群馬を楽しむ情報マガジン「タウンぐんま」


WEEKLY
TOPIC
日帰りで行く 群馬の魅力再発見の旅「富岡市」
2024.11.22
WEEKLY TOPIC  富岡市  西毛

タウンぐんまが“日帰り旅行”を提案するコーナー。
毎回、魅力あふれる群馬県内の地域にフォーカスしたショートトリップを紹介する。
今回は富岡製糸場がある富岡市の市街地周辺を訪ねた。
滞在時間も併記したので、旅の参考にどうぞ。

【取材協力】富岡市 観光交流課、富岡製糸場課、富岡市観光協会

富岡市

群馬県南西部、関東平野の北西端にある富岡市。
中心市街地は市域の中央東部に形成されている。
市街地は富岡製糸場を中心に昔ながらの町並みが残り、カフェやショップも点在。
地元の特産品やグルメが味わえるスポットも多く、散策するのにぴったりの場所だ。

世界遺産「富岡製糸場」だけじゃない
富岡市街地周辺で日帰り“大人旅”

木の骨組みにレンガを積み重ねて造られた「東置繭所」。

富岡市には「富岡製糸場」を始めとした同地の歴史を語る上で欠かせないスポットが点在している。
そんな場所に足を運び、この地の魅力に触れてみよう。

 
日本経済発展の一役を担った製糸

保存整備工事後に現在はギャラリーやホールとして活用されている「西置繭所」。

富岡市でまず欠かせない場所が「富岡製糸場」だ。
日本の近代産業の象徴とも言える製糸工場で、フランス人技師ポール・ブリュナの指導の下、明治政府により1872年に設立。
日本初の国営製糸工場として操業を開始した。

ブリュナの住居だった「首長館」。

明治時代の西洋建築様式を取り入れた建物は見所も多く、国宝に指定されているれんが造りの「東置繭所」や、操業当初から先進的な器械製糸が行われた「繰糸所」では、操業停止時に置かれていた自動繰糸機を見ることができる。
ほかにもポール・ブリュナとその家族のための寄宿舎として使われた「首長館」や技術を教えたフランス人教師の住居「女工館」といった製糸場の歴史を今に伝える貴重な建物も現存している。

富岡製糸場、世界遺産登録10周年

「女工館」はフランス人女性教師の宿舎として建てられた。

2014年には「富岡製糸場と絹産業遺産群」の歴史的価値が認められ、ユネスコの世界文化遺産に登録。
今年6月に10周年を迎え、富岡市はさまざまなプログラムを実施してきた。
来年1月11日~24日には、製糸場誕生のルーツにあるフランスとの交流物語をテーマにしたイベント「富岡製糸場フランスウィーク」を開催。映画上映とトークショー、シルクアート展、フランス文化を感じる町並み散策などを予定している。

「繰糸所」の内部に設置された自動繰糸機。

「西置繭所」1階では歴史的資料を見ることも。

データ
富岡製糸場

富岡市富岡1-1


9:00~17:00 ※最終入館は16:30。


一般1,000円、高校・大学生250円(要学生証)、小中学生150円、未就学児無料ほか


12月29日(日曜)~31日(火曜)


富岡製糸場総合案内所 0274-67-0075


 
歴史ある倉庫群で過ごす
旧富岡倉庫
〈滞在時間〉1時間~2時間

約100年前に建設された美しい倉庫群。

 上信電鉄の上州富岡駅近くにある旧富岡倉庫は、明治30年代に創業した会社の倉庫4群で、主に繭や穀類などの保管に使用されていた。
現在は「歴史的建造物を活(い)かしたまちづくり」の一環として、建築家・隈研吾さんの監修により改修・整備され、1号倉庫は「富岡製糸場と絹産業遺産群」を紹介する 「群馬県立世界遺産センター」(下記A)に。
2号倉庫は「Merci Cocon & Café(メルシー・ココン アンド カフェ)」(B)、3号倉庫は地場野菜や土産物などを販売する「おかって市場」(C)として活用されている。
100年以上前に建設された建物内で、買い物を楽しんだり一息ついたりできるのが魅力だ。

中心市街地の活性化と地産地消推進のために設置された「おかって市場」。

「Merci Cocon & Café」のガレット「生ハムとグリュイエールチーズ」(写真中央、900円)、「桑の葉オレ」(写真右、450円)といった、富岡らしいメニューも提供。同カフェは一息つくのにぴったり。

「繭乾燥場」は、外から自由に見学できる。

データ
旧富岡倉庫

富岡市富岡1450


富岡市 世界遺産観光部観光交流課 0274-62-5439


A 入館無料


A 9:00~17:00
B 11:00~17:00
C 9:00~19:00(土曜は18:00、日曜は17:00まで)


A 水曜、12月29日〜31日 ※3月〜11月は毎月最終水曜のみ。
B 水曜、年末年始
C 第1・3日曜、1月1日~3日


 
工女たちが愛したカレーライスに舌鼓
高田食堂

工女さんも愛したカレーライス(750円)

富岡製糸場のほど近く、銀座通り沿いにある1953年創業の食堂。
富岡製糸場で働いていた工女たちも口にしたという看板メニューのカレーライスは、創業当時から変わらない味という。
レトルトでも販売しているので土産にもおすすめ。

データ
高田食堂

富岡市富岡22


0274-62-0469


11:30~売り切れまで


不定休


 
石段を下った先に鎮座する神社
一之宮 貫前神社
〈滞在時間〉30分~1時間

2009年に行われた「平成の大改修」によって極彩色に蘇った拝殿と本殿。

1,500年の歴史を持つ神社で本殿と拝殿、楼門が国の重要文化財。
蓬ヶ丘(よもぎがおか)と呼ばれる丘の北斜面、通称・菖蒲谷(しょうぶだに)(綾女(あやめ)谷)に鎮座し、階段を下って参詣する全国でも珍しい下り参道が特徴だ。
現在の社殿は3代将軍・徳川家光の命によって建立。
御祭神は「経津主神(ふつぬしのかみ)」と「姫大神(ひめおおかみ)」で開運や縁結び、安産の神として信仰されてきた。
拝殿と本殿は極彩色の漆塗りで装飾され、本殿2階に御神座(ごしんざ)がある「貫前造」と呼ばれる同神社特有の建築様式になっている。

宮崎県の「鵜戸神宮」、熊本県の「草部吉見神社」と共に「日本三大くだり宮」の1つに数えられている。

社務所ではカエルのお守りを受けられる。交通安全祈願の「無事かえる」という意味でカエルが祭られている。

本殿裏にある樹齢約1,200年と言われる「藤太杉」(写真中央)は迫力満点。

データ
一之宮 貫前神社

富岡市一ノ宮1535


楼門/6:00~17:00


0274-62-2009


 
富岡市ゆかりの近代美術に触れる
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
〈滞在時間〉1時間~2時間

アトリエを再現した「福沢展示室」では、制作の様子を知ることができる。

「もみじ平総合公園」内に建設された博物館と美術館。
1995年に開館した同館は、富岡市ゆかりの作家の作品を始め、富岡市と周辺地域の考古、歴史、民俗資料などを展示する美術博物館と、富岡市出身の画家・福沢一郎の作品を集めた美術館が併設されている。
公園内には「群馬県立自然史博物館」といった施設も。

郷土資料展示室

データ
富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館

富岡市黒川351-1


9:30~17:00


一般210円、高校・大学生100円、中学生以下無料ほか


月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)、12月27日~1月4日


0274-62-6200


 
高校の敷地内に残る前田家の遺構
七日市陣屋跡
〈滞在時間〉約30分

前田利家の五男・前田利孝が1616年に幕府から甘楽郡内(現在の富岡市七日市)に一万石の領地を拝領したことにより構えた陣屋。
現在は1843年に再建された正殿の玄関から書院にあたる御殿と呼ばれる部分が県立富岡高等学校の敷地内に残り、国の登録有形文化財になっている。
御殿内部は見学不可。

※学校敷地内のため、時間帯によって生徒の往来に注意。

東京大学の「赤門」に対して「黒門」と呼ばれる中門。

データ
七日市陣屋跡

富岡市七日市1425-1


正門の開門時


群馬県立富岡高等学校 0274-63-0053


\こちらもおすすめ/
 
岡重肉店

地元で愛される昔ながらの精肉店。
新鮮な肉類を販売しているほか、手作りの揚げたてコロッケ(70円)やカレーパン(250円)、ちくわに衣を付けて油で揚げた富岡市名物・ホルモン揚げ(3本150円)などがいただける。

データ
岡重肉店

富岡市富岡1051-3


9:00~19:00


水曜


0274-62-0278


 
甘なっとうの小嶋屋

1956年創業の甘納豆専門店。
厳選された豆を使い、仕込みから製造まで一つ一つ手作業で丁寧に作られる甘納豆は、昔なつかしい素朴な味わい。
市内外問わず多くの人に愛されている。贈答品としても人気。

データ
甘なっとうの小嶋屋

富岡市七日市953


9:00~19:00(水・土・日曜は17:00まで)


1月1日 ※臨時休業の場合あり。


0274-62-2545


 
くれ~ぷ工房 Clin.Clin. 富岡店

富岡製糸場近くにあるクレープ店。
旬のフルーツを盛り込んだクレープのほか、酸味の効いたレモン風味のシルクパウダーを使った富岡市ならではの「シルクくれ~ぷ」(450円)といったメニューも。

データ
くれ~ぷ工房 Clin.Clin. 富岡店

富岡市富岡42


土・日曜、祝日12:00~17:00


027-368-2119


旅行後記

富岡製糸場や旧富岡倉庫群、一之宮貫前神社など、歴史的な建物が多く残り、こうした場所を巡ることで、同市の歴史や文化について知ることができた。
今回紹介した場所以外にも、大通りから路地に入れば、さらに興味深い場所を発見できそうだったので再度探索に訪れたい。

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