桐生市のアクセサリーブランド「000（トリプル・オゥ）」が設立10周年を迎え、10月3日に直営ショップをリニューアルオープンさせ注目を浴びている。

　「000」のアクセサリーを製作しているのは、桐生市で1877年に創業した刺繍（ししゅう）メーカー「株式会社 笠盛」だ。同社はもともと織物業を営んでいたが、1962年に刺繍業へ転身すると、その高い技術力を生かし成長していった。

　そんな同社がアクセサリー製作に着手したきっかけは、2007年に初参加したパリの展示会だった。刺繍の技術を用いて、かぎ針で生地自体を縫い上げる「カサモリレース」という特殊な技法で作られた洋服用のパーツを出品すると、大きな反響を呼んだ。その後、刺繍の可能性を探る中で、自社の技術を応用したアクセサリーを製作。企業や団体から注文は増加したが、自社でブランド化させるため、2010年に「000」を設立した。デザイナーを務める片倉洋一さんは「自社ブランドを立ち上げることで、お客様の反応や表情を直接見たかった」と語る。同ブランドのテーマは“日常を豊かにするアクセサリー”で、現在までにネックレスやブレスレットなど約80アイテムを展開している。中でも1番人気は、「スフィア（球体）・プラス」シリーズ（税抜2,000円～）。刺繍で球体を形成したアクセサリーで、糸が持つ柔らかな風合いに加え、軽いことや金属アレルギーがある人でも気軽に着けられると支持されている。

　「000」というブランド名は製品作りに欠かせない素材・技術・発想や、既成概念にとらわれず“ゼロから新たな価値を創造する”という思いが込められている。

　今秋には、マスクやグラスコードといった新商品も発売したほか、10月3日には、本社併設の直営店「ファクトリーショップ」がリニューアルオープンした。

　伝統の技術と革新的な発想から生み出した「000」。老舗刺繍メーカーが仕掛ける、独創的な試みの今後に注目だ。

【「000」ファクトリーショップ】

住所

桐生市三吉町1-3-3（笠盛）

営業時間

毎月第1土曜、第3金・土曜の10：00～18：00
※事前予約サービス利用で平日のみ営業日外対応可。

問い合わせ

0277-44-3358