古民家をリノベーションした洋菓子店「Tiroir（ティロワール）」が桐生市堤町に4月28日、オープンした。白壁に瓦屋根の個性的ながら温かみのある店舗と、美しいケーキは評判を呼び、早くも県内外から購入者が訪れている。

　物語に登場するような店のドアを開けると、アンティークの椅子やテーブル、料理道具が飾られた空間が広がる。ショーケースに行儀よく並んだケーキは引き出しにしまわれた宝物のようだ。「コンセプトは大人がわくわくできる店。自分へのご褒美としてケーキを買ってほしい」と話すのは、オーナーシェフの樺沢義幸さんだ。

　桐生市出身の樺沢さんは、和菓子屋を営む両親のもとに生まれた。店を継ぐため修行を始めた30年ほど前、日本を代表するパティシエの1人、杉野英実さんのケーキと出合い、「ケーキでこんなに豊かな表現ができるのか」と衝撃を受けた。それを機に洋菓子に転向し、洋菓子店やホテル、レストランで研さんを積んだ。その腕を買われ、外部プロデューサーとして新商品の開発を担当したこともある。

　実家の和菓子屋は区画整理でなくなってしまったが、厨房部分のみ残ったこともあり、近くの空き家を購入。約1年かけて店舗に改装した。大工仕事も自分でできる部分は行い、ドアや窓はフランスのアンティークを用いた。そして以前から少しずつ集めていた、やはりヨーロッパのアンティーク家具を配置した。

　ケーキはフランスの伝統的な菓子を現代風にアレンジした物が中心。多い日で12種類が並ぶ。例えば、アーモンドがたっぷり入ったスポンジに濃厚なクリームとイチゴを合わせた「フレジェ」（627円）はフランス版イチゴショートのような定番のケーキ。「歴史を重ねてきたものは、長い時間の中で工夫も重ねられている。そうしたおいしいお菓子をもっと発信していきたい」と樺沢さん。

　夏には店内でコーヒーやオリジナルソーダと共にケーキを味わえるカフェも始める。ケーキは楽しい場面で登場するお菓子。今度の休日はTiroirのケーキで幸せな時間を作ってみてはいかがだろう。

住所

桐生市堤町2-5-2

営業時間

10：30～19：00

休み

火・水曜 ※定休日以外の臨時休業はSNSに掲載。

問い合わせ

0277-46-9636

【HP】https://tiroir-cake.com/