群馬県から全国にはばたくアスリートを紹介するコーナー。さまざまな競技を対象にトップアスリートやその卵たちを取材し、競技に注ぎ込む情熱からオフの飾らない姿までをお伝えする。彼らがひたむきに練習に取り組む姿勢や試合での集中力、そして結果を受け止める表情は、どんな時でも私たちの心に元気や勇気を届けてくれる。群馬で育ったスポーツ界の若きエースを一緒に応援しよう。

石島 瑶子さん（23歳：桐生市在住）

　雪山の斜面に設置された旗やポールの間（旗門）を通過し、コースを滑り切るまでのタイムを競うアルペンスキー。今回は、そんなアルペンスキー界から石島瑶子さんを紹介する。石島さんはこれまで国内やアジアの大会で上位に入賞し、2019年の「第29回ユニバーシアード冬季競技大会」では日本代表に選ばれた。今後さらなる活躍が期待される彼女の強さの秘訣（ひけつ）や素顔に迫る。

CAREER

競技歴：14年

第50回 全国中学校スキー大会 回転 優勝（2013年）、第97回 全日本スキー選手権大会 回転 準優勝（2018年）、第75回 国民体育大会冬季大会スキー競技会「とやま・なんと国体2020」 大回転 優勝、秩父宮杯・秩父宮妃杯 第93回 全日本学生スキー選手権大会 女子1部 大回転 優勝（2020年）

　祖父母が新潟県で冬季のホテル経営をしていたことや、スキーが好きな父の影響もあり、3歳から遊びでスキーを始めました。朝からナイター営業終了まで滑るほど大好きになり、父の知人が「アルペンをやらせてみたら?」と父に提案したそうです。それがきっかけとなり、小学3年生でアルペンスキーを始めました。

　アルペンスキーには滑降、スーパー大回転、大回転、回転の4種目があり、私は大回転と回転を専門にしています。大回転と回転は旗門と旗門の間隔が短くターン数も多いため、細かいテクニックが要求される種目です。いかに最短距離で旗門を通過できるかが重要になります。旗門の間近を通過することは、けがやコースアウトのリスクを伴いますが、それを臆さず狙っていけるのが私の強みです。

一番の魅力は、雪面を滑り下りるスピード感と爽快感です。また、天候や雪質、コースなど常に変化する条件に対応していくことが難しさであり、面白さでもあります。同じ条件のレースがないので、他のスポーツのように「ベストタイム」が存在せず、その日のコースで一番速く滑った人が勝ちというシンプルなところも魅力です。

　中学2年生の時に出場した「サロモンカップ」です。小学生までは県内大会への出場がほとんどでしたが、中学入学後は全国のトップを目標に競技に取り組んでいました。そんな中、強豪の北海道の選手が出場するサロモンカップで優勝することができました。これが自信となり、翌年には目標だった全国中学校スキー大会での優勝を達成できました。

　最大の目標はオリンピックに出場することです。また、今は国内やアジアの大会が主戦場ですが、今後はワールドカップに出場できるような、世界で戦える選手になりたいです。

　石島さんの強みは、大回転、回転の両方で結果を出せるところです。また、ここぞという時に最短距離を狙っていける精神力と勝負強さを持っています。何より“スキーが大好き”という思いが強いです。ここ数年のけがを乗り越えた経験や今春に社会人となったことで、よりアスリートらしい顔になりました。

■ 1年間の大まかなスケジュールを教えてください
12月～4月は大会出場や雪上でのトレーニング、5月～7月はウェートや走り込みなどのフィジカルトレーニング、8月～11月はヨーロッパの氷河でトレーニングをしています。

■ レース前にすることは
スキー用具の準備をしてくれる「サービスマン」の方と、スタート時にグータッチをして集中力を高め、気持ちのスイッチを入れています。

■ お気に入りのゲレンデは
8月～11月のヨーロッパ遠征で滑ることが多いスイスのサースフェースキー場です。日本のスキー場と比べてスケールが大きく、景色もとても奇麗です。国内では新潟県の石打丸山スキー場が好きです。今はほとんど行くことがなくなってしまいましたが、アルペンスキーを始めるまでずっと滑っていた場所なので懐かしく、また滑りに行きたいスキー場です。

■ 休日の過ごし方は
映画やYouTubeをよく見ます。また、アルペンスキーヤーは朝が早いので、休日はゆっくり起きて朝食を食べ、コーヒーを飲みながらのんびり過ごすのが至福の時です。ヨーロッパの遠征先では、チームメイトと一緒にお菓子を作って食べることもあります。