群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は、国際交流員としてフランスから来日し、富岡市富岡製糸場課に勤務しているヴェロニック・ムーランさんを紹介する。彼女が日本に興味を持ったきっかけや、国際交流員としての活動、今後の展望などを取材した。日本とフランスの懸け橋として活動する彼女の素顔に迫る。

国際交流員　ヴェロニック・ムーランさん（24）

PROFILE

　1996年4月20日生。フランス北東部、ロレーヌ地方の都市・メッス出身、富岡市在住。中学生の頃に日本に興味を持ち、大学在学中に長崎市への留学を経験。その後、日本の地方自治体で海外青年を一定期間任用する「JETプログラム」に合格して来日。2019年8月から国際交流員として富岡製糸場内の富岡市富岡製糸場課に勤務し、海外に向けた市の魅力発信のほか、フランス文化を通じた市民との交流に取り組んでいる。

　ムーランさんが日本に興味を持ったのは中学生の頃。友達に勧められて見た日本のアニメで流れる曲に魅了されたのがきっかけだった。日本の音楽について調べるうちに他の曲やアーティストも好きになり、歌詞の意味も理解したいと独学で日本語の勉強を始め、日本への留学の夢を持つようになっていった。

　その後、パリ郊外の大学に進学して日本語や英語、観光について学び、2017年に長崎市で4か月の留学を経験。現地の人々の温かさに触れ、「日本の職場も経験してみたい」との思いから、日本の地方自治体で海外青年を一定期間任用する「JETプログラム」への応募を決めた。既定の配属先候補地について調べたムーランさんは、初めて富岡製糸場とフランスの絆を知り、富岡市を第一希望として応募。見事合格し、大学卒業後の2019年8月に富岡市富岡製糸場課に配属された。

　念願の国際交流員として働き始めたムーランさんだったが、着任して間もなく新型コロナウイルスの影響を受けてしまう。国際交流員の活動として重要な“地域の人たちとの交流”ができない中、YouTubeでの情報発信を上司に提案。撮影や編集を自ら行い、3か国語での富岡市の紹介や、フランス語講座の動画などの発信を始めた。感染状況が一度落ち着いた昨年の夏から秋頃は、小中学生を対象にした英語教室や、保育園でのフランス文化交流会を開催。「子供たちの真っすぐな反応を見ることができ、実際に人と会って交流する楽しさを実感した」と振り返る。

　ムーランさんは「今後はフランス料理の講座や、フランスの文化やゲームに触れる会を開き、もっと富岡の皆さんと交流したい」と目を輝かせる。JETプログラムでは最長で5年間の契約が可能だが、「富岡の皆さんがとても温かく、自然に囲まれているところも好きなので、5年間富岡にいたいと思っています」と柔らかな笑顔で話した。富岡市と日本を愛するムーランさんの活動に、今後も注目だ。

■ JETプログラムに合格した時はどんな気持ちでしたか
夢がかなうのがうれしくて、すぐにでも出発したい気持ちでした。実は、私の双子の姉も同じタイミングでJETプログラムに応募して合格し、現在は島根県松江市で国際交流員として働いています。配属先は違いますが、仲の良い姉と一緒に日本に行けることもうれしかったです。

■ 国際交流員になっていなかったらどうしていましたか
JETプログラムに応募した時は、とにかく“日本で働きたい”という一心だったので、そのほかのプランは考えていませんでした。もしかしたら、フランスの大学で日本人学生を迎える仕事をしていたかもしれません。

■ モットーは
“人生は1回きりなので、色々なことに挑戦してみよう”です。

■ 休日の過ごし方は
富岡に来てから始めたフルートの練習をしたり、日本の歌やダンスを楽しんだりしています。また、天気の良い日は、仲のいい近所の女性と登山に出かけたり、一緒に料理をしたりします。

■ 群馬県内で行ってみたい場所は
吹割の滝、ぐんまフラワーパーク、館林市のつつじが岡公園や館林美術館、桐生市に行ってみたいです。吹割の滝は、水量が多くなる春に訪れたいと思っています。桐生市では、ストールなどを作る織物体験をしてみたいです。

YouTube【アカウント】Tomioka Silk Mill
Instagram【アカウント】@my.tomioka
Facebook【アカウント】Filature de soie de Tomioka

　富岡製糸場を始めとした富岡市に関する情報を発信している。Instagramを日・仏・英の3か国語で投稿し、Facebookをフランス人向けに書いている。