群馬よみうり
群馬を楽しむ情報マガジン「タウンぐんま」


ピックアップ-G
【HUMAN】
県内各地で活躍する地域おこし協力隊
vol.37
2023.05.12
ピックアップ-G  富岡市

 人口減少や高齢化に悩む地方に都市部から人を呼び込み、1年~3年の任期で地域活動に協力しながら定着・定住につなげることを目的とする「地域おこし協力隊」。2009年より総務省が始めた制度で、群馬県内でもさまざまな年代の隊員が活動している。このコーナーでは、まちの未来を盛り上げるべく日々奮闘する隊員たちにスポットを当て、地域ごとに紹介していきたい。

新たな担い手として未経験からの挑戦
富岡市の養蚕技術を守り継ぎたい

富岡市・地域おこし協力隊 市川 素さん(33)

 日本有数の繭生産地として知られる富岡市だが、近年は養蚕農家の廃業や高齢化が進み、その数わずか10戸と激減している。シリーズ5回目は、そんな同市で養蚕業の継承と振興に携わる市川素さんをご紹介。青年海外協力隊の経験を持つ市川さんに、同市の協力隊員を目指した理由などを聞いた。

PROFILE

 京都府生まれ、滋賀県出身。妻、1歳の娘とともに千葉県より移住し、昨年7月から現職。趣味はランニングや子供と遊ぶこと。養蚕業の発展を目的に、SNSにて「養蚕日誌」を配信中。事前に問い合わせれば現地での作業見学も可能。

 

【Facebook】https://www.facebook.com/tomiokashi.chiikiokoshi
【Instagram】https://www.instagram.com/1kawamoto/

——今までの経歴と地域おこし協力隊を目指したきっかけを教えてください

 兵庫県の大学を卒業後、岡山県にある造船会社に就職し資材調達部で働きました。もともと海外への憧れが強く、3年ほど勤めた後に休職。青年海外協力隊に参加して、インドで養蚕農家を支援する仕事に就きました。シルク大国であるインドでは、養蚕業が地域経済を支える基幹産業であり、その技術は日本由来のものであることが分かりました。にも関わらず、日本では養蚕業が衰退している。そんな現状を知ったことが、養蚕に興味を持つきっかけとなりました。帰国後は元の会社に復職しましたが、インドにも愛着を抱いていたことからJICA本部へ転職し、日本にいながらインドと関わる業務に。しかし、養蚕への思いも捨てきれず調べていたところ、富岡市で養蚕業に携わる協力隊を募集していたんです。

——隊員としてどんな活動を行っていますか。また、印象に残っているエピソードはありますか

 蚕の餌となる桑の葉が採れる5月~10月が養蚕シーズン。蚕を育て、繭を出荷するという工程が30日サイクルで行われ、期間中5回繰り返されます。私は7月からの任務スタートだったので、最初の3か月は地元農家を訪れ、桑の切り方や飼育方法、上蔟(じょうぞく)作業(成長した蚕が繭を作れるよう回転まぶしという専用道具に入れること)などを学びました。いくつかの研修先を訪れましたが、86歳の生産者を訪ねた際、仕事に対する真摯な姿勢や人生観なども話してくれ、感銘を受けました。研修を終えた10月には、独り立ちとして飼育から出荷までを行い、約40㎏の繭を出荷することができました。真っ白な繭を見た時は「やっと一歩踏み出せた」と達成感でいっぱいに。周囲からも「いい繭だね」と言われてとてもうれしかったですね。

——今後の目標や、任期終了後に目指していることは何ですか

 今年は350㎏の繭生産を目指して頑張っているところです。養蚕を続けるにあたっては、シーズンオフ中もいかに収益を上げられるかが重要。そこで昨冬は、下仁田ネギや長ネギの栽培を勉強させてもらいました。今年も技術習得に励み、任期後の独立に備えたいと思っています。また、良い繭を作るには蚕が健康に育つよう、快適な飼育環境を作ることが大切。デリケートな生き物だからこそ、丁寧な温度管理など細心の注意や工夫が欠かせません。近年の猛暑問題は大きな壁になりますが、富岡にはトップレベルの技術を持つ先輩農家が多いので、少しでも多くを学び、良質な繭を作れるようになりたい。そして、原点になったインドとも、また何かしらの形でつながれたらと考えています。

富岡市ってどんなところ?

 県南西部に位置する富岡市は自然豊かな環境と温暖な気候が特徴。世界遺産「富岡製糸場」がある街として知られ、「群馬県立自然史博物館」や「群馬サファリパーク」など観光地が充実しています。製糸場周辺はレトロな建物やグルメスポットも多いので街歩きにおすすめです。

こんなところが富岡市の魅力!

 都心へのアクセスが良好ながら、のびのびと過ごせる環境に家族みんなほれ込んでいます。養蚕文化が根強く残っているからか、自分の存在を喜んで受け入れてくれるなど地元住民の温かさに触れることも多いです。こんにゃくやネギ、ナスといった特産品が豊富なところも魅力です。

市川さんに聞く! おすすめスポット
大塩湖

春は桜、秋は紅葉、冬は渡り鳥と四季折々の景観が望める湖。市川さんお気に入りのジョギングコースだという。湖畔には約1,000本の花木が植えられ、これからの時期はアジサイが楽しめる。貸しボートもあるほか、群馬サファリパークとも近いためセットで訪れるのもおすすめだ。

 

【住所】富岡市南後箇1970
【営業時間】貸しボート/9:00~17:00(10月1日以降16:00まで)、冬期休業
【料金】ローボート320円~、サイクルボート550円~
【問い合わせ】大塩湖管理棟 0274-64-0446

市川さんに聞く! おすすめイベント
第22回 げんきフェスタ

 “みんなを笑顔に! ”を合言葉に、市内外から集まった子供や大人が企画運営を行う手作りイベント。4年ぶりの開催となる今回は、まちなか全体を会場に、手作りおもちゃ体験や遊びコーナーなどさまざまな催しが繰り広げられる。

 

【日時】5月20日(土曜)10:00~15:00
【会場】宮本町通りお富ちゃん広場、富岡中心市街地
【住所】お富ちゃん広場/富岡市富岡1041-6
【問い合わせ】富岡げんき塾(朝日屋の吉田さん) 0274-62-0160

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