群馬よみうり
群馬を楽しむ情報マガジン「タウンぐんま」


ピックアップ-G
【HUMAN】
インタビュー特集 群馬の“輝く人”
vol.32
2022.02.03

 群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は、自らの経験から頭髪を失った女性向けの「ヘッドスカーフ」を製造・販売する合同会社アルモニア代表の角田真住さんを紹介する。2016年からスカーフのネット販売をスタートし、前橋市内に今年4月、実店舗をオープン予定。アピアランスケア(外見面のケア)事業を広げる角田さんに思いを聞いた。

外見変化をケアするヘッドスカーフ製作
アピアランスケアをもっと身近に

合同会社アルモニア代表 角田 真住さん(44)

PROFILE

 1977年10月22日生。伊勢崎市出身・在住。頭髪が何か所も失われる「多発性円形脱毛症」発症をきっかけに、ウイッグ(かつら)以外の方法としてヘッドスカーフの活用を発案。2016年、クラウドファンディングで資金調達し、合同会社アルモニアを設立。ヘッドスカーフの製造・販売の他、病気や手術などで外見が変化した女性の服装選びや、関連する情報の提供といったサポートも行っている。今春、前橋市に店舗を開く。

36歳で多発性円形脱毛症に
起業のきっかけは友人の言葉

 社会人のスタートは県内の水産会社だった。当時、社長がよく口にしていた「人が困っていることにこそニーズがあり、解決できたら、より良い世界に進む」という言葉が心に刻まれている。

 結婚を機に退職して夫や子供と暮らす中、36歳で多発性円形脱毛症を発症。原因ははっきりせず、治療も停滞した。ウイッグを試したが、弱っている頭皮がかぶれ、血がにじむことも。ある日、手持ちのスカーフを頭に被るように巻いた。これが好評で、友人から「素敵!」と褒められ、明るい気持ちに。ファッションの楽しさを思い出すと同時に、「似た症状を持つ女性が、生き生きと変われるきっかけになるのでは」と、ヘッドスカーフの事業化に乗り出した。

無縁の繊維業界へ飛び込む
技術を学んで自社製作へ

 2016年に会社を立ち上げ、体当たりで繊維や服飾の会社に企画を持ち込んだ。何社か断られながらも、桐生市の縫製会社が製造を引き受けてくれた。ウェブ販売を始めると反響は大きく、悩みを抱える人の多さを実感した。

 しかし、反響があったとはいえヘッドスカーフは市場として小さく、利益を出すことは難しい。2年ほどの製造休止を経て、角田さんは自分で作ることに行き着いた。縫製会社に頼み込み、布の裁断から工業用ミシンの使い方、縫製後の糸の扱いといった技術を習得。試行錯誤の末、弱っている頭皮に負担の少ない県産シルクを使ったヘッドスカーフが誕生した。

 技術習得の傍ら、病気や抗がん剤、手術などで外見が変わった人のサポート活動にも参加。辛さや悩みを多く耳にし、アピアランスケアを社会的な課題と改めて意識した。

4月に実店舗をオープン
“弱さまでも美しさに変える”

 角田さんが手掛けるヘッドスカーフの価格は7,800円から。納得して購入してもらえるよう、ワンコイン(500円)で1週間の試着体験や、オンラインカウンセリングで症状との向き合い方をアドバイスしている。4月には前橋市の中央通り商店街に、工房を兼ねた実店舗を開く予定だ。自社サイトに掲げる目標は「人の弱さまでも、美しいと思える社会へ」。ただ「隠す」のではなく、ポジティブな心に変えるアピアランスケアを群馬から広める場になる。

 前橋市の中心市街地は、おととし誕生したアートホテルを核に活気づく。角田さんは前橋女子高校出身で、昔から知る街の変化を自分のこれまでに重ねる。「一度、苦しい時期を味わった。そこから『同じ形に戻る』のではなく、『新しい形に変化する』ために色々な人が助け合っている」。持ち前の前向きさで、その一翼になる。

もっと知りたい! 角田真住さんの深掘り情報

前向きな性格はどこから
子供の頃から人と違うことが好きで、やりたいことができると真っ直ぐに進むタイプでした。今はアクティブな人と関わり、さらなる推進力をもらっている感じです。

 

最初に水産の仕事を選んだ理由は
水族館に関わる仕事がしたい、と東京水産大学(現在は東京商船大学と統合して東京海洋大学)に進んだことがきっかけでした。その頃から、他の人があまり考えないことに積極的に飛び込んでいましたね。

 

仕事の他に興味があることは
QOL(生活の質)の向上を目指すグループに参加し、公開イベントの企画などを行っています。アピアランスケアは医療に近い福祉分野ですが、より普段の生活で役立つ情報を皆と共有したいです。

 

リラックスできる時間は
人と話すときです。コーヒーを入れ、仲の良い友人や家族と話をすると、「人は誰かと接することで癒やされる」と感じます。

 

ヘッドスカーフに県産シルクを使った理由は
「県産を使う」のを目的にしていたわけではなく、弱った頭皮に最適な素材を探した結果です。内側に安中市の碓氷製糸のシルクを使っていますが、赤ちゃんの肌着にも使えるほど優しい素材です。外側は軽く発色の良いポリエステル製で、オリジナル柄の商品は桐生市の工場で染色しています。

INFORMATION
桐生駅「オーライ」でポップアップストア

【日時】2月19日、20日、11:00~17:00
【HP】https://scarf.co.jp/
【問い合わせ】合同会社アルモニア 090-9313-1409

 

 桐生駅駅舎内の貸店舗「オーライ」でヘッドスカーフの販売会を行う。使い方の説明やコーディネートはもちろん、身体のことも含めてトータルで話ができる機会。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

エリア別 ピックアップ-G

西毛 中毛 東毛 北毛 その他

ピックアップ-G アクセスランキング

DAILY WEEKLY TOTAL

キーワード

タウンぐんま公式 facebook
特集
秋を楽しみたい全ての人に
シリーズ:スポーツ[ゴルフ]


タウンぐんま公式facebookいいね!を押して旬で役に立つぐんまのニュースをゲットしよう!
© Gunma Yomiuri All rights reserved.