群馬よみうり
群馬を楽しむ情報マガジン「タウンぐんま」


ピックアップ-G
【HUMAN】
インタビュー特集 群馬の“輝く人”
vol.25
2021.05.27

 群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は丸山下駄製造所に弟子入りして3年目の高橋枝里さんが登場。群馬県内で唯一、下駄作りの全工程を1人でこなす職人で伝統工芸士の丸山勝美さんから指導を受けつつ、昨年2人で考案した室内履きの下駄が大ヒット。伝統工芸の技術を学び、継承する高橋さんのこれまでの歩みや将来の展望を聞いた。

「ものづくりを仕事に」と下駄製造の世界へ
伝統工芸を受け継ぐ若き桐下駄職人

桐下駄職人 高橋 枝里さん(32)

PROFILE

 1989年2月28日生。埼玉県出身、沼田市在住。2018年に沼田市の地域おこし協力隊に応募し、丸山勝美さんの下で伝統工芸「沼田桐下駄」作りの修行を始める。知識と経験がゼロの状態からスタートし、約1年丸山さんからつきっきりの指導を受け、基本的な工程をこなせるようになった。2020年に室内で履ける下駄を丸山さんとともに考案し発売したところ、メディアで紹介され反響を呼んだ。

地域おこし協力隊へ応募
桐下駄製造と師匠に出会う

 裁縫好きな母親の影響で、ものづくりが趣味だった高橋さん。社会人となり東京でシステムエンジニア(SE)として働きだしてからも、余暇にはバッグや洋服などを作っていた。「ものづくりを仕事にしたい」と真剣に考えるようになった頃、沼田市が地域おこし協力隊として「伝統工芸士の後継者」を募集していると知った。知らない土地で初めてのことに挑戦する不安はあったが、「ものづくりをしたい」という一心で応募。伝統工芸士4人を訪ねて研修し、布を使っている、ファッションに関連があるなど、洋服作りの経験が生かせそうな沼田桐下駄を選び、丸山勝美さん(83)の下に着任した。

下駄作りに燃える日々
室内履き用下駄が大ヒット

 桐下駄製造は7つの工程が分業で行われてきたが、丸山さんは全工程を1人で行う県内唯一の職人。約70年間「沼田桐下駄」の伝統を守ってきた。最初は不安があった高橋さんだが、丁寧で、優しい丸山さんの指導に不安も薄れ、日々努力を重ねた。手作業で全く同じ形や大きさにそろえる下駄作りの難しさを感じながらも、「一日中ものづくりができる今の環境は楽しい。丸山さんと巡り会えて幸せ」と語る。
 2020年は新型コロナウイルスの流行で夏祭りや花火大会が中止となり、下駄の売上が落ち込んだ。「外出が難しいなら室内で履ける下駄を作ればいいのでは」と、底にゴムを貼った「室内履き用の下駄」を丸山さんと考案。販売したところ飛ぶように売れ、現在は品薄の状況だ。「自分が作った下駄が人の手に渡って喜んでもらえるのは、やりがいがあるし、うれしい」と、忙しくも充実した表情を見せる。

まずは一人前の職人が目標

 現在の目標は「一人前になること」。約40種類の下駄を作る丸山さんに対し、高橋さんが作れるのはその半分程度。高橋さんは「半人前というのも申し訳ないくらい。丸山さんと比べれば、10%の技術もない。まずは全種類の下駄を作れるようになりたい」と意欲を見せる。地域おこし協力隊の任期は今年で終了するが、来年以降も丸山下駄製造所で桐下駄製造を続ける決意だ。脈々と受け継がれる伝統工芸の後継者として、精進していく。

もっと知りたい! 高橋枝里さんの深掘り情報

仕事で気を付けていることは
けがをしないように気を付けています。1つの作業を長時間続けると腱鞘炎(けんしょうえん)になりやすいので、作業を定期的に切り替えるといった工夫をしています。木工では刃物を使うときに事故が起きやすいので、手を置く位置などは細心の注意を払っています。

 

自分にとってないとだめなものは?
手を使う作業です。ものづくりが好きすぎて、基本的に常に手を動かしていたいです。手を使う作業が何もないと段々イライラしてきます。

 

沼田市に住んでみて抱いた印象は?
自然が豊かな土地という印象です。出身の埼玉県蕨市は、全国の市町村で人口密度が1位とあって建物が多いので、自然に囲まれている環境は新鮮です。周りを見れば山や木があるし、眺めの良い場所に行くとリフレッシュできます。

 

群馬県内で行ってみたいところは?
群馬県は温泉が有名だと聞いているので、色々行ってみたいです。みなかみ町は一度訪れたことがあるので、草津町に出かけてみたいです。

 

高橋さんが思う下駄の魅力は
木製なので、自然の温かみがあるところです。また、下駄を履くと足の裏の筋肉が鍛えられるので健康にもいい。外反母趾(がいはんぼし)や扁平足(へんぺいそく)などの足の悩みがある人でも履き心地のいいものを作れるなど、魅力は色々あります。

INFORMATION
丸山下駄製造所の桐下駄オンライン販売

 高橋さんはSEとしての経験を生かし、オンライン販売にも取り組んでいる。桐下駄は丸山下駄製造所でも購入できるが、いずれも室内履き用は注文多数のため9月以降の納品となる。

 

丸山下駄製造所公式サイト
室内履き用の下駄の予約を受付中。 ※発送は9月以降。
【URL】http://r.goope.jp/maruyamageta

ハンドメイドマーケット「minne」
桐下駄(外用)を販売。
【URL】https://minne.com/@yamanohotori

問い合わせ/丸山下駄製造所 0278-23-1728

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