群馬よみうり
群馬を楽しむ情報マガジン「タウンぐんま」


ピックアップ-G
【HUMAN】
インタビュー特集 群馬の“輝く人”
vol.23
2021.04.01

 群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は、「世界に通用する地域文化ブランドを創る」を目的に株式会社Ay(アイ)を2020年6月に設立し、現在は伊勢崎銘仙を使ったファッションデザインを提案している村上采(あや)さんを紹介する。海外での体験を生かし地元の文化をアップサイクルする(新しい価値を加えて生まれ変わらせる)事業や、今後の計画を聞いた。

地域ブランドを世界に発信
伊勢崎銘仙をアップサイクルする学生起業家

株式会社Ay代表 村上 采さん(22)

PROFILE

 1998年12月8日生。伊勢崎市出身。慶應義塾大学在学中。2020年、個人で展開していたファッションブランドAyを法人化。大学の研究会で実地に行ったアフリカ・コンゴ民主共和国で、日本向け衣類の現地生産を協働事業としてプロデュースしていく中で、地域の誇るべき文化として伊勢崎銘仙に目を向けるように。今年2~3月、前橋市で展示・販売会を行うなど地元での活動も増えてきた。

中等校で出合った伊勢崎銘仙
海外留学で視野が広がる

 伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校に入学し、地元の人を講師にしたワークショップの中で、同市でかつて栄えた絹織物「伊勢崎銘仙」を初めて知った。高い技術と生産量で全国に広まった伊勢崎銘仙と、それを培った文化に興味を抱くようになった。

 4年生で約1年間、アメリカ・ミネソタ州への交換留学を経験。英会話に不慣れだったことや、根強く残る人種感情などから「半年間はロンリーな感じだった」。そんな中、南アフリカ共和国からの留学生が明るく声をかけてくれた経験から、アフリカとの交流ができる大学を目指すようになった。

アフリカで需要の創出を体験
そしてブランド「Ay」の誕生

 慶應大総合政策学部に合格し、コンゴ民主共和国で協働活動に取り組む研究会に加わると、2019年3月から約1か月半、現地に渡った。この時、日本文化を紹介しようと伊勢崎銘仙で着物体験会を開いたこともあり、現地で服を作る女性たちのNGOとつながりを得た。

 好きなファッション分野を通じての協働が具体化し、NGOメンバーを現地パートナーとして衣料品を開発し、40着を日本で販売した。完売こそしたが「事業として継続するには、援助ではなく、作る側・買う側双方が服の品質やデザインに魅力を感じないと難しい」と考え、10月に再渡航。買い手に受け入れられる物作りを相談し合い、ビジネスとして展開を進めた。こうしてできたブランド「Ay」のコンセプトは「文化を織りなおす」だ。

海外での経験を生かし
地域に眠る産業に光を

 しかし継続的な販売に踏み出した矢先、世界的なコロナ禍で、現地との協業が難しい状況に。先行きに悩みながら帰郷した時、地域に残る文化「銘仙」もまた現代の日本では知られていないことに気付いた。

 コンゴ民主共和国と生まれ故郷が、同じ「服飾」の文化でつながった。「どちらも地域の文化・産業を担ってきたもの。カルチャーブランドとしてのAyの姿勢と重ねられる」。そう考え、銘仙のアップサイクルが、Ayを織りなすもう1本の糸になった。銘仙独特の鮮やかな柄を取り入れて、「羽織りローブ」や「ベストワンピース」として新たな形に。クラウドファンディングで資金を調達し、縫製を県内の織物工場に依頼し、地元産業に循環させている。

 海外に学び、地元に輝くものを見付けた。次の夢は「伊勢崎の織物の復活」だ。「まずは銘仙を基にしたテキスタイルデザイン、そして基本的な絣織り、とステップアップしていきたい」と、真っ直ぐ前を見つめ、進んでいく。

もっと知りたい! Ay&村上采さんの深掘り情報

Ayの伊勢崎銘仙製品にはどんな種類がありますか
最初にパンツ(スラックス)を作りました。「羽織りローブ」は襟の内側に銘仙をあしらい、ベストワンピースはベスト部に銘仙を使って、柄を見て楽しめるものを目指しました。生活の中にあった銘仙の鮮やかさを表現したいと思っています。

 

Ayのデザインの特徴は
伝統織物の見せ方に工夫があります。そして「自分が30歳代になったときに着たい、上品で格好良い服」としてデザインを考えています。マスクやバッグなど小物や、絵画のようにキャンバスに張って飾れるものもあります。

 

 コンゴの衣料と伊勢崎銘仙の 共通点は
地域の文化の側面としての地場産業であるほか、視覚的には大胆な色遣いで、抽象的な図柄もあり、風合いは繊細という辺りが似ていると感じます。

 

Ayの服を見る機会はありますか
折々にポップアップストアの形で展示しています。ウェブサイトなどでお知らせしているので、ぜひ見てください。

 

 仕事の他にしてみたいことはありますか
スポーツです。中等校ではバドミントンをしていたので、またやりたい。他に、伝統工芸の体験もしていきたいです。

INFORMATION
Ay オフィシャルサイト

 Ayのブランドメッセージや、Ayの製品を実際に見られるイベントや出店のお知らせをいち早く伝える公式サイト。オンラインストアでは、この記事で紹介した「羽織りローブ」など銘仙として織られた布をアップサイクルした一品物を販売中。

 

【HP】https://ay.style/

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