群馬よみうり
群馬を楽しむ情報マガジン「タウンぐんま」


ピックアップ-G
【HUMAN】
インタビュー特集 群馬の“輝く人”
vol.07
2019.10.03
ピックアップ-G  富岡市

 群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は富岡市で刀鍛冶として活動する石田國壽さんを紹介。石田さんが刀鍛冶を始めたきっかけや刀作りでのこだわり、今後の展望など、刀剣製作にまつわることから、休日の過ごし方といったプライベートなことまでを取材した。日本固有の鍛冶製法を用いて、さまざまな刀剣を生み出してきた石田さん。今後、さらなる活躍が期待されている刀鍛冶の素顔に迫る。

名刀「三日月宗近」に挑んだ
富岡市出身の刀鍛冶

刀鍛冶 石田 國壽さん(42)

PROFILE

 1977年1月15日生。富岡市出身。1995年、奈良県指定無形文化財保持者・河内國平に師事。2001年に「新作名刀展」で努力賞、新人賞を受賞すると、翌年に「國壽鍛刀場」を富岡市に開設。その後も数々の展示会で受賞を重ねる。近年は異なる文化と日本刀を融合させたイベントに参加しているほか、若手刀職者が集うグループ「鉄芸」を立ち上げ、博物館や美術館で実演を行うなど、日本刀の魅力を広く伝えるために活動している。

日本刀との出合い
刀鍛冶としての始まり

 石田さんが刀鍛冶を目指そうと思ったきっかけは、17歳のときに行われた祖父の葬儀だった。「ひつぎの上に置いてある枕刀を見て、そこから日本刀に興味を持ちました。その後テレビで放送していた刀鍛冶の特集に心を打たれ、刀鍛冶になることを決心しました」と当時を振り返る。ちょうどその頃「日本美術刀剣保存協会」主催のコンクールが東京で開催されており、奈良から刀鍛冶の河内國平さんが参加することを知った石田さんは、父親の知人を通じて紹介してもらい、18歳で弟子入り。そこから厳しい修業を重ね、2001年に文化庁より美術刀剣類製作の承認を受けると翌年独立し、故郷の富岡市に「國壽鍛刀場」を開設した。

日本刀と異文化の融合
天下五剣の1振りに挑戦

 現在石田さんは刀剣の展示会以外に、アニメやゲーム、狂言などと刀剣を融合させたイベントにも参加している。そのきっかけとなったのが、2012年に開催された「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」への出展だった。そこで完成させた2振りの剣は、刀剣業界のみならずアニメファンの間でも大きな話題となった。

 2016年にはゲーム「刀剣乱舞」の企画で、平安時代の名刀で天下五剣の1振りとして知られる「三日月宗近」を作刀当時の姿に推定復元するプロジェクトに参加。しかしこれは石田さんのキャリアで最も困難な挑戦だった。「この刀は現存していますが、800年以上前の刀なのでかなり研ぎ減っていました。文献が残っておらず、常に手探り状態でした」と当時の苦労を語った。作業は困難を極めたが、2018年にようやく作刀当時の姿を復元。これにより刀鍛冶・石田國壽の名は広く知られるようになった。

「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」に出品した「櫻花」(手前)と「梅花」(奥)

「復元 三日月宗近 真打」(ニトロプラス蔵)

備前長船長光への挑戦
夢は後世に語り継がれる刀鍛冶

 石田さんの夢は鎌倉時代の刀鍛冶・備前長船長光の刀作りに挑戦すること。「1番好きな作風は長光の太刀です。それを写すことで得た技術を元に自分の作風を確立させ、宗近や長光のように何百年も大切にされる作品を作りたいと思っています」と目を輝かせた。日本刀の普及と啓蒙に取り組む“匠”の挑戦は続く。

もっと知りたい! 石田國壽さんの深掘り情報

刀作りの魅力は
良い刀が打てれば、その刀を作った鍛冶屋の名前が長く残るところです。800年もの時を超えて後世に自分の名前が残るなんてロマンを感じますし、職人冥利に尽きます。

 

刀作りでのこだわりは
刀全体のバランスです。刀は「姿」「地鉄」「刃文」の3つのバランスで美しさが決まります。自分の作品は最も美的センスが高いと言われている鎌倉時代の刀を参考にしています。

 

休日の過ごし方は
自営業なので休みという休みはありませんが、心も体も万全の状態でないと良い刀は作れません。なので時間があるときはできるだけ体を休めるようにしています。あとは最近友人の誘いでダーツを始めたので、リフレッシュしたいときにプレーしています。

 

群馬のおすすめスポットは
高崎市にある「高崎 はた山」の担々麺が好きで、よく食べに行きます。

INFORMATION
平成の名刀・名工展

【日時】11月9日(土曜)~2020年2月2日(日曜)9:00~17:00
【会場】鉄の展示館
【住所】長野県埴科郡坂城町坂城6313-2
【料金】一般500円、中学生以下無料 月曜(1月13日は開館し翌日)、12月28日~2020年1月4日
【問い合わせ】鉄の展示館  0268-82-1128

 美術刀剣のコンクールを主催している3つの団体が初めて合同で行う企画展。平成に活躍した刀鍛冶の中から32人が選抜され、石田さんも選ばれている。各職人がこれまで制作してきた作品の中から、1番思い入れのある作品を展示する。

注文や問い合わせ/090-7211-1182
メール shiro.kunihisa@gmail.com Twitter(@tetsugei)のDMから

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