群馬よみうり
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ピックアップ-G
【HUMAN】
インタビュー特集 群馬の“輝く人”
vol.22
2021.03.04

 群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は、書道家で高校教諭の栗原正峰さん。枠にとらわれない筆使いの作品を書きながら、培った人脈を生かしてアパレルや音楽バンドともコラボレーションを行っている。その原点は「教育」。伊勢崎市教育アンバサダーとしても活躍する栗原さんの、将来を担う若者たちへ向ける眼差しを追った。

子供たちの夢を後押し
自らも書で挑戦を続ける熱血先生

書道家 栗原 正峰さん(44)

PROFILE

 1976年6月15日生、本名は正博。伊勢崎市出身・在住、埼玉県の高等学校教諭。6歳で筆をとり、中断時期を挟み28歳で書の道に戻った後、書とアートが交じる独自のスタイルを模索。2011年「現日書展」大賞受賞。2013年フランスの公募展「ル・サロン」ほかに入選。伊勢崎銘仙のキャップのプロデュースや、バンド「ラッコタワー」のドラムデザイン、雑誌などのタイトル文字も手掛ける。2017年から同市教育アンバサダー。

野球に打ち込んだ青春時代
教育者となって書が支えに

 書道家の祖父の下に生まれ、小学生で筆を手にするが、中学・高校では野球に夢中になった。東京農大二高に通い、1994年夏の甲子園出場時は中継ぎ投手だった。引退後は教員を目指し大学へ進学。卒業後は埼玉県の高校教諭となり、27歳の時、バスケットボール部の顧問に就任した。この時「甲子園出場」という経歴が全く生徒に通じず、また学校が荒れていた時期と重なって、築いてきた自信が崩れかけたという。

 悩みながら「自分を見つめ直す時間を」と改めて筆を持ち、日本文化が伝えてきた精神性の大切さを感じた。生徒たちに礼節や思いやりについて熱く根気よく伝えると、その意志をくんだ部員の1人が埼玉県選抜選手に選ばれ、大学では国体に出場。さらにプロを目指してアメリカへ行くことになり、その支援にも奔走した。

書展で大賞、海外でも評価
独自の表現を推進する

 教え子の渡米に真剣に向き合った結果、「夢を持った若者が育つ教育現場を作りたい」と強く思うようになった。自身も教師の仕事をしながら、書でさまざまな挑戦を続け、生徒たちにその背中を見せている。

 型にはまらない「創作書道」に魅せられて学ぶようになり、「現日書展」へ2度目の出展で大賞を獲得したのは35歳の時。評論家の目に留まり、銀座の画廊で個展を開いた。書道界において35歳の若さで銀座での初個展は珍しく「異端児」といった扱いも受けたという。そんな反応を物ともせず、海外の芸術公募展に出展し入選を果たした。「日本で認められるには、世界で認められることが先決」との考えだった。また「自立した書道」を目指すグループ「風草舎」を結成。年齢や経験に関係なく、同じ立場で学び合う場となっている。

栗原さんの書で甲骨文字の「繭」を刺しゅうした伊勢崎銘仙のキャップ

教育者を育てる場を作りたい

 これからの目標は、教育者を育てる場を作ること。「子供たちがどうすれば真っ直ぐにやる気になるのか、変化する世の中で若い先生が考え方に悩んでいるのを感じる。子供の持つ背景を知り、向き合えるヒントを伝えることで、教育は今より良くなる」と迷いなく話す。自身も教育の場に立ちながら、破天荒な書道家は次代を担う星を応援していく。

もっと知りたい! 栗原正峰さんの深掘り情報

栗原さんの「書」の目指すものは
書道を知らない人にも伝わる、ひと目で「おっ」と感じてもらえるものを書きたい。文字の意味を表すため、大きく崩したり、筆を押し上げたり、紙に収まらない運筆を使うこともあります。構図を考えると作為が出てしまい、見る人に考えさせてしまう。そうしたことを排するには、ひらめいたときに書けるのが理想です。

 

書の難しさ、面白さは
墨と紙だけで表現するところです。墨の黒と紙の白の2色の中で「かすれ」「しぶき」といった動きを伴って立体感のある表現ができるのが、筆にしかできない特徴で、面白味だと思います。

 

これまでの作品で印象に残っているものは
秩父三十四観音霊場を訪ね、それぞれの寺院のイメージを表現した連作は、教え子のバスケ渡航費の支援とも重なり、大切な経験になっています。

 

休日の過ごし方は
平日は学校で教え、夜は大学院の研究と勉強をしています。土・日曜は書道に向き合ったり、博士論文の執筆をしたり。何より家族との時間を大切にしています。

 

モットーは
「一生懸命」「やると決めたら絶対やる」です。

INFORMATION
風草舎展 ─おもい、まじわる─

【日時】3月24日~28日10:00(24日は13:00)~18:00(28日は16:00)
【会場】LABI1 高崎 Art Gallery
【住所】高崎市栄町1-1
【料金】入場無料
【問い合わせ】LABI1 高崎 Art Gallery  027-345-8878
【HP】風草舎 https://fusosha2015.wixsite.com/fusosha

 

 「自己表現としての書・芸術としての書」を通じ、世界中を笑顔にしようと集まった「風草舎」のメンバー11人が、それぞれの近作を展示する。漢字ばかりでなく、英語や古代文字もモチーフにした自由度の高い作品が30点以上並ぶ書道アート展になる。

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