群馬県で活躍するさまざまな“輝く人”を紹介するコーナー。今回は県内の女性で初めて菓子製造技能士検定1級に合格したパティシエ、神戸夏紀さんを紹介する。神戸さんがパティシエを目指したきっかけやお菓子作りをする上でのこだわり、将来の夢や展望など、お菓子作りにまつわることから、休日の過ごし方といったプライベートなことまでを取材した。今後、さらなる活躍が期待される若きパティシエの素顔に迫る。

パティシエ　神戸 夏紀さん（27）

PROFILE

　1993年8月27日生。高崎市在勤。幼少期に母の手伝いで菓子作りを始める。富岡実業高、東日本製菓技術専門学校で食品と製菓の知識を習得。現在は高崎市の「カレーム 本店」に勤務。2016年と2018年に「ジャパンケーキショー」で大会会長賞を受賞。2021年に菓子製造技能士検定1級に合格。群馬県内では初の女性合格者となる。

　神戸さんがパティシエを志したきっかけは、小学生まで遡る。「母の菓子パンやクッキー作りを手伝う中で、将来は菓子職人になりたいと思っていました」と語る。その思いから中学卒業後は食品コースがある高校に進学。さらに東日本製菓技術専門学校に入学し、専門的な技術と知識を習得し夢に近づいていった。

　そんな中、神戸さんはアーモンド粉と砂糖を練り上げた菓子、マジパンと出合う。「マジパンは動物や人などを作ってケーキの装飾に使います。昔から細かい作業が好きだったこともあり、マジパンを使ったデコレーションに没頭しました」と当時を振り返る。そして2年生の時に、「ジャパンケーキショー」に出展。入賞は逃したものの挑戦する楽しさを知り、その後も出展を続けた。専門学校卒業後は高崎市にある老舗洋菓子店「カレーム 本店」に就職し、夢だったパティシエの道を歩み始めた。

　神戸さんはパティシエとして働く傍ら、「ジャパンケーキショー」に出展するために仕事が終わった後や休日を利用して日々練習を重ねていった。そして2016年にマジパン・ジュニア部門で大会会長賞を受賞し、2018年にはディスプレイ部門でも同賞を受賞した。そして2021年にかつての担任教師の勧めで、菓子製造技能士検定の1級を受験。同検定は衛生管理や栄養学に加え、ケーキ作りの総合力が試される難易度の高いものだったが、神戸さんは初挑戦で見事合格。「正直受かると思っていなかったですし、結果よりも挑戦することが目的だったので、合格を知ったときはとても驚きました」と神戸さん。「ただ就業後や休日に練習や勉強していた努力が報われたことはすごくうれしかったです」と笑顔を見せた。

2016ジャパンケーキショーのマジパン・ジュニア部門で大会会長賞を受賞した作品

　神戸さんの夢はパティシエを志す子供たちの目標になること。「これからもさらに自分の技術を磨き、お菓子作りを通じて子供たちに“自分もこうなりたい”と思ってもらえるようなパティシエを目指します」と目を輝かせる。

　今後は体験教室やワークショップを通じて、子供たちと交流する機会を増やしていきたいと語る神戸さん。ひたむきに努力を続ける若きパティシエの挑戦は続く。

■ お菓子作りの魅力は
自分の作ったお菓子で人を笑顔にできることです。また気温や湿度に合わせて材料の量や作り方を変える必要があるので、実験的な楽しさややりがいも感じます。

■ お菓子作りのこだわりは
味のおいしさはもちろんですが、見た目でも楽しんでもらえるように、色合いや質感にこだわっています。

■ 影響を受けた人は
パティシエを目指すきっかけになったお菓子作りを教えてくれた母と、マジパン作りを指導してくださった専門学校時代の担任の先生です。

■ 休日のリフレッシュ法は
さまざまな物に絵を描くトールペイントをしています。あとはケーキ屋巡りをして、おなかいっぱいケーキを食べることです。

■ 好きな言葉はありますか
努力と挑戦です。以前亡くなった祖父の手帳を見る機会があり、そこに書かれていた努力することの大切さ、挑み続けることの素晴らしさに感銘を受け、座右の銘になっています。

■ 群馬のおすすめスポットは
谷川岳です。コロナウイルスの影響と忙しさで登れていませんが、状況が落ち着いたらまた登りに行きたいです。

【住所】高崎市上並榎町1134-1
【営業時間】10：00～19：00
【休み】不定休
【問い合わせ】カレーム 本店 027-362-8672

　神戸さんがパティシエとして勤務している高崎市の老舗洋菓子店。素材や製法にこだわったフランス菓子を中心に、トレンドや季節に合わせたさまざまな種類のスイーツを取りそろえている。