群馬で生まれ、群馬で育った地元企業の歴史やこだわりを紹介するコーナー。今回は、業務用食器の卸売業や陶磁器の企画・販売を行う「株式会社三美堂」をご紹介。卸売業をメインにしながら、群馬県の形を模した盛皿やだるま型の磁器など斬新なオリジナル商品を世に送り出している。そんな同社がこれまで歩んできた歴史や、商品開発に対するこだわり、今後の展望などを取材した。

　「株式会社三美堂」は、高崎市にある業務用食器の卸売会社。同社は1957年、旅館や飲食店に業務用食器の卸売りを行う「リプラ食器」として高崎市本町で創業した。1961年に「リプラ食器株式会社」となり同市問屋町に移転。樹脂製食器の製造を開始し全国展開するほど好調だったが、時代の流れに合わせて業務内容を転換し、日本各地の陶磁器・漆器などの和食器を中心とした卸売りにシフト。会社の規模も縮小し、1979年に「株式会社三美堂」として現在地に移転した。ところが、外国産の安価な食器や、インターネット販売の普及などにより食器類の売り上げは年々減少し、悪化の一途をたどることに。

　そんな同社に変化を起こしたのは、家業を継ぐため2015年に入社した4代目の吉村聡さんだった。ある日、顧客の飲食店から「地域をアピールできるお皿があったらいいのに」との相談を受けた吉村さんは、一目で群馬をPRできる、県の形を模した「ぐんま盛皿」を考案。飲食店向けに販売したところ、その斬新なデザインからSNSを中心に話題となった。2019年には、群馬に関連した商品を販売する自社ブランド「toool つーーーる」を発足。高崎の名産品・だるまを模した皿や群馬の山々を表現したカトラリーレストなど、約20種類の商品を開発した。オンラインショップやJR高崎駅構内の「群馬いろは」などで個人向け販売を開始し、県外在住の群馬出身者や、県外に移る人への贈り物として好評を得ている。吉村さんは「食事の度に目にする食器は、人々の生活に欠かせないもの。そんな食器で群馬を盛り上げたい」と語る。今後は群馬の土を使った商品開発も計画しているという同社。これからも群馬愛あふれるユニークな器で地元を盛り上げていく。

新しいことに挑戦する企画力と実行力

　家族経営のため、型にとらわれることなく事業や商品を企画することができる。自社ブランドの「toool つーーーる」は、企画を担当する4代目・吉村聡さんの発想力とフットワークの良さによって実現した。

各窯元の特長を生かした商品製造が可能

　「toool つーーーる」の商品は全て、全国各地の陶磁器の産地に製造を依頼している。こうした窯元とのつながりは、創業者である吉村聡さんの祖父が培ったもの。吉村さんは祖父の資料を参考に、窯元の特長に合わせて依頼する商品を変えているため、高品質な陶磁器を製造できる。

■社名の「三美堂」は「“陶磁器”“漆器”“ガラス器”の3つの美を提供する」という意味を表している。

■群馬県立女子大学の学生とのコラボ商品「群馬の山カトラリーレスト」は、実際の山の標高に合わせ、高い順に浅間、赤城、榛名（榛名富士）、妙義となるように商品の高さを設計。また各商品の色は、運動会での団分けや上毛かるたの絵札を参考にした。

同社の自社ブランド「toool つーーーる」から4代目の吉村聡さんがおすすめする4つの商品を紹介。発売済みの3品は同社のオンラインショップや県内の取り扱い店舗で購入できるので、食卓を群馬のお皿で彩ってみては?

ぐんまのお皿（大）高低差

　群馬県の形と地形を模した陶器。色は5種類。オンラインショップ、高崎オーパ1階の「高崎じまん」、桐生市本町の「Life & Gift KINARI」で販売。大きさ約30cm、1枚8,250円。

ふらっとだるま FLAT DARUMA（大）

高崎市の名産品であるだるまを模した平らな磁器。色は紅白の2種類。オンラインショップ、「群馬いろは」「高崎じまん」で販売。大きさ約25cm、1枚5,500円。

ふらっとだるま蓋物（仮）

だるまをモチーフにした「ふらっとだるまシリーズ」の新作で、重箱のように重ねることができる2段1セットの磁器。オンラインショップなどで3月頃発売予定。

ちっちぇふらっとだるま箸おき

「ふらっとだるまシリーズ」の磁器の箸置き。色はだるま落としをイメージした青、赤、白、黒、緑、黄の6種類。オンラインショップ、「群馬いろは」「高崎じまん」で販売。1個1,000円。

【取材協力】株式会社三美堂　高崎市上並榎町120
問い合わせ／027-362-7167
オンラインショップ／https://toool.theshop.jp/