群馬で生まれ、群馬で育った地元企業の歴史やこだわりを紹介するコーナー。今回は、誰もが“ほっ”とリラックスできるような雑貨、ギフト商品の企画販売を行う「株式会社ほんやら堂」をご紹介。ユニークな商品で人々に癒やしを提供し続ける同社。会社の成り立ちや商品開発のこだわり、転機のほか、オリジナルキャラクターの誕生秘話などを取材した。

　「株式会社ほんやら堂」は高崎市に本社を置く癒やしをテーマにした雑貨・ギフトの企画販売会社。オリジナルキャラクターの抱き枕や入浴剤などの“癒やしグッズ”を企画開発しており、1986年に現代表の藤永辰美さんによって「有限会社ほんやら堂」として高崎市で創業。当時はスキー場やテーマパークなどの土産物用に、自然素材を使ったインテリアやキャラクターグッズの企画・卸しを行っていた。その後バブルが崩壊し、癒やしグッズの需要が高まっていったことで業績を伸ばし1993年に株式会社化。炭の消臭効果に世間の注目が集まると、炭を使った商品の販売に着手し市場も観光地から一般の小売店へと移行した。

　そんな中、疲れた人を癒やすためにオリジナルキャラクター「なまけたろう」の抱き枕を2001年に発売すると、「触り心地の良い生地やラベンダーの香りに癒やされる」と20代後半～30代前半の女性を中心に人気を集めた。「なまけたろう」のヒットを機にキャラクター商品の販売に注力していった結果、売り上げの8割をキャラクター商品が占めるようになり、同社の名は広く知られるようになっていった。2004年には安眠をテーマにしたオリジナルキャラクター「おやすみ羊」の抱き枕を発売。この商品は現在までに累計約1023万個を売り上げており、こうした同社の商品は国内に留まらず、現在では香港や台湾、アメリカ、フランスなどにも輸出され、世界中で愛用されている。

　時代の流れと消費者ニーズに合わせた癒やしの商品を販売してきた同社。今後は海外向けの販売を強化するほか、AIロボットの商品化も計画している。これからもアイデアあふれる商品で人々に癒やしを届け続ける。

常識にとらわれない商品企画

　「なまけたろう」のぬいぐるみは、当時ぬいぐるみ業界から「目がくりくりしていないから売れない」と言われていたが、発売してみると働く女性の間で人気となった。こうした常識にとらわれない同社ならではの発想が、人気商品を生み出している。

心をケアする癒やしの商品

　同社の商品開発のテーマは「癒やしと健康」。社内での商品企画開発だけでなく、医学系や美術系の大学と連携しながら、専門分野の知識やアイデア、技術を取り入れて人々の心と体の健康に貢献するための商品作りに取り組んでいる。

■社名の「ほんやら堂」は、観光地のお土産事業を行っていた当時スキー場とも関わりがあったことから、「かまくら」を意味する「ほんやら洞」が由来となっている。

■タレントのはしのえみさんや歌手のYUKIさんなど、同社の商品を愛用している芸能人も多い。

■暦（こよみ）を出版している「株式会社神宮館」とのコラボブランド「えんぎもん」を展開しており、お守り風の入浴剤や、シルク製の赤いパンツといった商品も販売している。

これまで数々のキャラクターを生み出してきた株式会社ほんやら堂。その数は社員でも把握しきれないほどだとか。ここでは、中でも人気が高い4キャラクターを発売順に紹介する。

なまけたろう（2001年発売）

　すべての人の心に住み着いていて、頑張りすぎている人たちに癒やしや勇気、希望を届けるナマケモノのキャラクター。同社の記念すべきオリジナルキャラクターの第1号。※現在は販売終了。

おやすみ羊（2004年発売）

　おおらかで、細かいことは気にしない性格の羊のキャラクター。抱き心地の良さと香り付きのクッションが人気。おやすみ羊の公式HPでは、メリーおばさんが安眠の知恵を公開中。

温泉（ぬくいずみ）さん（2017年発売）

　住所は湯畑、姓は温泉。湯にたゆたうように幸せに暮らす浴衣姿の一家。父・つかる、母・つや子、息子・ひたる、娘・めぐみ、犬・たまごの4人と1匹の家族で、疲れた人を見かけると入浴に誘う。

柴ずきん（2017年発売）

　主人の犬飼さんとその奥さんと暮らす、頭巾をかぶった柴犬のキャラクター。疲れ気味の人を癒やす“出張癒やし屋さん”として活動している。マイペースで時に毒舌を吐くが涙もろい。温泉好き。

【取材協力】株式会社ほんやら堂
本社／高崎市岩押町14-12