群馬で育った地元企業の歴史やこだわりを紹介するコーナー。今回は、独立テレビ放送局「群馬テレビ株式会社」を紹介する。群馬県の出来事を深く掘り下げるニュースや特集番組を独自の視点で制作する群馬テレビの内部へ潜入し、テレビ人たちの熱い思いを取材した。また、珍しい「土木」をテーマにした番組「@!アッと驚く ぐんまのヒミツ」の撮影現場の様子をリポートする。

「群馬テレビ株式会社」は前橋市に本社を置く県域のテレビ放送局。1970年に設立され、機材の設置や東京支社の開設、試験電波の発信などを経て1971年4月16日に放送を開始した。以来、放送時間を順次拡大しながら取材・制作体制を調えていき、高校野球を始めとしたスポーツの生中継にも対応していく。現在は2スタジオ体制で約3割の番組を自社制作。県内のニュースはもちろん、バラエティー番組や県政を紹介する「ぐんま一番」、地域を再発見する情報番組などを届けている。

　2003年の地上デジタル放送開始と共に、関東の県域局はそれぞれリモコンキーIDが「3」となった。これをきっかけに、2011年から関東地方独立局5局で「5いっしょ3ちゃんねる」という協力体制を組み、各局が月～金曜を受け持って、それぞれが制作したバラエティー番組を23時台に放送するなど、これまでにない展開を試みた。

　この時、群馬テレビでは新番組として高崎市出身のタレント・JOYが県内外を案内する「JOYnt!（ジョイント）」を制作、各局で水曜に放送された。JOYの明るいキャラクターや多彩な企画、ゲストの登場もあって、現在も続く人気番組となっている。

　県建設企画課の企画を受けて制作する番組「@!アッと驚く ぐんまのヒミツ」や、前身の「BIRD’S EYE」ではドローンを駆使して土木工事の成果を紹介。BIRD’S EYEは新しい技術を放送に生かし、土木施設を紹介する他に類を見ない番組として、全日本建設技術協会から「全建賞」の部門賞を受けた。

　現在は自社サイトからのインターネット配信を通じて一部の番組を県外でも視聴できる体制を整えている。これからも時代に応じた工夫を取り入れ、群馬の「今」を伝えていく。

関東最初の独立テレビ局

　実は東京キー局のネットワークに属さない独立テレビ放送局としては、関東地方で初めて開局した。ちなみに、翌月には千葉テレビ放送、翌年にはテレビ神奈川が開局している。

独自の番組編成でコアな人気

　他のテレビ局が制作した番組の買い取り放送も行っていて、現在のキー局ではほとんど放送されない時代劇や最新のアニメも放送するため、それを目的に視聴する人もいる。

■開局当初、平日は夕方から夜の時間帯だけ放送していた。昼間の放送が始まったのは昭和60年代に入ってからで、平成時代になってから朝の放送枠を拡張している。

■保育園・幼稚園児が踊る番組「ポチッとくん体操」でおなじみ、群馬テレビのキャラクター「ポチッとくん」は2002年に誕生。2012年（平成24年）に着ぐるみが完成し、さまざまな場所に「登場」できるようになった。

■「JOYnt!」は2011年4月スタート予定だったが、直前にJOYが病気で入院したため、退院後の6月29日からの放送となった。

「土木探検隊」としてユージ、尼神インター渚、武井ドンゲバビーを迎え、土木作業の体験や風景を発信する。今回の内容は10月25日（日曜）18時45分から放送。

❶撮影前の社内ミーティング。今回のテーマは「あれから1年 台風19号 災害復旧のヒミツを探れ！」。事前情報の整理や現場の下見、台本の作成、撮影後など工程ごとにスタッフが集まり、その後の予定を詳細に打ち合わせている。

❷10月1日の現場撮影。嬬恋村大笹地区、国道144号が吾妻川を渡る鳴岩橋へ。豪雨で崩落した橋桁が残る仮設橋周辺の河道修復工事の最中だ。崩落した橋にユージもショックを受け、上流地域の被害の大きさを実感する。

❸上流に移動し、復旧計画を練るための大型ドローンの運用を取材。ドローン撮影画像を使った高精細な3D映像にユージも驚く。被災者でもあり、復旧工事を行う建設会社に勤める方へインタビューするユージの表情は真剣。

❹撮影した映像を、コンピューターを駆使して15分番組に編集する。さらにナレーションやBGM、字幕、CGなどを加え番組が完成。関係者を集めて事前にプレビュー（試写）を行って内容をチェックし、オンエアを迎える。

【取材協力】群馬テレビ株式会社
本社／前橋市上小出町3-38-2

【番組情報】@!アッと驚く ぐんまのヒミツ
毎月第4日曜18：45～19：00、再放送は2日後の火曜21：15～21：30