群馬県民なら誰もが知っているあんなものやこんなもの……。それらを製造する地元企業の歴史やこだわりを紹介するコーナー。今回は、人気ブランド豚肉として名高い「和豚もちぶた」の生産から販売までを行う「グローバルピッグファーム株式会社」をご紹介。和豚もちぶたの誕生秘話や、同社のこだわりを取材した。今や全国各地で高い人気を誇っているブランド豚肉を生み出した同社の秘密に迫る。

　「グローバルピッグファーム株式会社」は渋川市に本社を置く養豚会社。複数の養豚農家が出資してできた会社で、群馬県を始め、全国各地の農場で自社銘柄の「和豚もちぶた」を生産・販売している。同社の誕生は、代表取締役会長の赤地勝美さんのある思いがきっかけだった。赤地さんは養豚会社にいた頃、海外の先進的な養豚に触れ、「日本一おいしい豚肉を作りたい」という思いが芽生えた。そこから一念発起し、会社を退職。1978年にアメリカで品種改良の基になる豚を発見すると、同年に「赤地養豚株式会社」を創業した。その後、品種改良を重ねて1983年に納得のいく豚が完成。「日本人の口に合う豚肉」という意味で「和豚もちぶた」と名付けた。

　この年、全国の養豚農家が集まる催しで赤地さんは、高品質な和豚もちぶたを生産することで、小規模農家でも安定した経営ができるビジネスモデルを提案。これに複数の農家が賛同し、3か月後に「グローバルピッグファーム株式会社」を設立した。会社で品種改良から流通までを一括管理することで、各農家で高水準な養豚を可能にした。こうして販売を開始した和豚もちぶたは、そのおいしさで評判となっていった。

　1990年には和豚もちぶたの加工品を製造・販売する｢ハム工房ぐろーばる」を設立。また、2012年には完全子会社の食肉処理センターが完成。独自の流通システムも構築し、問屋を通さずに新鮮な豚肉を供給可能になった。生産農場も年々増え続け、現在の年間出荷頭数は、会社設立時の3万3000頭から55万頭に増大。単一銘柄としては日本一を誇っている。

　最新技術を導入した農場の建設計画もあるという同社。これからも“日本一おいしい豚肉”を作るために、歩み続けていく。

会社専属の養豚専門獣医が全国の農場を定期訪問

　会社に所属する養豚専門の獣医7人が、全国の和豚もちぶた生産農場を定期訪問している。1頭1頭のデータをコンピューターで管理し、その豚に合った適切な健康管理を行っている。

数々の賞を受賞

　優秀な生産者に贈られる「農林水産祭 畜産部門 内閣総理大臣賞」を2010年に受賞しているほか、2017年には優れた食品に贈られる「ジャパン・フード・セレクション」の金賞を、和豚もちぶたが豚肉として初めて受賞した。

■ハム工房ぐろーばるのパッケージに描かれているイラストは群馬県出身の画家・金井訓志さんが描いた作品で、モデルはおらず会長の赤地勝美さんが直感で選んだ。

■和豚もちぶたのオンラインショップでは、同社の豚肉や加工品を使ったさまざまなレシピを公開している。肉の部位ごとの調理例も検索できるようになっている。

❶原種豚生産農場で飼育されている豚のうち、実際に和豚もちぶたの父親及び母親側の祖父母になるのは5％程度。豚の体形や歩き方、爪の形などを見て技術者が長年の経験から優秀な豚を選抜している。

❷豚肉のおいしさは飼料の質でも決まる。同社では豚にとって最適なアミノ酸バランスとカロリーを計算。厳選したトウモロコシや大豆ミールなどを配合した飼料を与えていることで、上質な脂身と肉質を生み出している。

❸2015年に新潟県新発田市に関連会社として設立した食肉処理加工センター「しばたパッカーズ」は世界基準の高レベルな衛生環境が設備されており、最新鋭のシステムを使用して和豚もちぶたのと畜から解体、加工までを行っている。

❹こうして加工された和豚もちぶたは、同社独自の流通ルートで、センターから小売店やレストランなどへ3日以内に届けられる。問屋を経由したり、他業者からの出荷にスケジュールを左右されたりせず、スピーディーな流通を可能にしている。

【取材協力】グローバルピッグファーム株式会社
本社／渋川市北橘町上箱田800　ハム工房ぐろーばるの問い合わせ／0120-44-3746