群馬県から全国にはばたくアスリートを紹介するコーナー。さまざまな競技を対象にトップアスリートやその卵たちを取材し、競技に注ぎ込む情熱からオフの飾らない姿までをお伝えする。彼らがひたむきに練習に取り組む姿勢や試合での集中力、そして結果を受け止める表情は、どんな時でも私たちの心に元気や勇気を届けてくれる。群馬で育ったスポーツ界の若きエースを一緒に応援しよう。

内山 怜音さん（群馬大学1年：伊勢崎市在住）

　今回は、前橋市の「DANCE STUDIO TRIGER（ダンス スタジオ トリガー）」に所属するブレイクダンサー・内山怜音さんを紹介する。「Lil’Bomb（リルボム）」のダンサー名で活動し、今年1月には国内最高峰の大会「全日本ブレイキン選手権2021」のユース部門で3位に輝いた。2024年のパリ五輪の新種目として注目が集まるブレイクダンスで、輝きを放つ彼の強さの秘訣（ひけつ）や素顔に迫る。

CAREER

競技歴：12年

BOTY U-15 BREAKING SOLO BATTLE ベスト4（2019）、PANDORA 1on1 BREAKIN’ BATTLE 優勝（同）、UK B-BOY CHAMPIONSHIPS JAPAN ELIMINATION 2019 優勝、全日本ブレイキン選手権2021 関東・甲信越ブロック代表決定大会 ユース部門 優勝、全日本ブレイキン選手権2021 ユース部門 3位

　幼い頃から踊ることが好きで、地域の公民館で開かれるダンス教室に参加していました。その時はヒップホップダンスが中心でしたが、2歳年上の兄がブレイクダンスをやっているのを見て、「かっこいい! 自分もやってみたい! 」と思い、小学1年生で始めました。

　「パワームーブ」と呼ばれる、アクロバチックな動きを中心とした演技の完成度とキレです。僕は体が柔らかいほうではありませんでしたが、中学3年間で体操にも取り組んだことで、柔軟性を養うことができました。そのほか、基礎体力や筋力、精神力も体操で身に付きました。

　高校1年生の時に出場した15歳以下の全国大会「BOTY（ボティー） U-15 BREAKING SOLO BATTLE（ブレイキン ソロ バトル）」です。上位4人に残れましたが、準決勝で負けてしまいました。僅差だったのでとても悔しかったですが、審査員からは期待の言葉をいただいたので、大きな自信になりました。

　準決勝の相手は、「BOTY U-15 BREAKING SOLO BATTLE」の準決勝で負けた選手でしたが、雪辱は果たせませんでした。それでも、その後の3位決定戦では気持ちを切り替え、キレのある一番いいダンスで勝つことができました。今まで出場した中で最も大きな大会だったので、3位に入賞できてとてもうれしかったです。

ユース3位に輝いた「全日本選手権2021」にて。右はオープン部門3位入賞のSHADEさん

　大学生になり自分の時間が増えると思うので、その時間を練習に充て、全日本や世界大会で優勝したいです。また、兄が所属する群馬大学のダンスサークルに入り、ブレイクダンスの大学日本一を決める大会「KING OF COLLEGE（キングオブカレッジ）」でも頂点を目指したいです。最終的にはブレイクダンスで生活できるようになり、下の世代を育てて群馬のブレイクダンスシーンを盛り上げていけたらと思っています。そして、ブレイクダンスをする人がもっと増えてほしいです! 一生ダンスに関わっていきたいです。

　彼のダンスの強みは、キレと豪快なパワームーブを交えたオリジナリティーです。また、素直で真面目な一方、熱い性格もダンスに生きています。情熱的過ぎて、時にはオーバーヒートしてしまうこともあるほどです。群馬から世界へ羽ばたく第一人者として、下の世代が背中を追えるような存在になってほしいと思います。

■ 大会前に必ずやることは
大会の1か月ほど前から、定期的にタバタトレーニングをするようにしています。20秒の息が上がるような激しい運動と10秒の休憩を8セット行うものです。ハードなトレーニングですが、その後に味わえる達成感と、体づくりのプラスになることを考えれば苦ではありません。

■ 目標にしているダンサーは
僕が通っているダンススタジオの講師でもあるSHADEさんです。群馬にいながらストイックにダンスに打ち込み、世界大会で結果を残しているところがすごいと思います。大学生になり、これからはオープン部門（一般の部）で各大会に臨むことになるので、いつかSHADEさんに勝ちたいです。

■ 大学ではどんなことを学びたいですか
群馬大学の教育学部に進学するので、指導するノウハウを学びたいです。教員免許を取り、下の世代にダンスを教える際に役立てたいです。

■ ダンス以外で好きなことは
サウナが好きなので、よく通っています。また、小学生の頃からお笑いコンビのサンドウィッチマンさんのファンで、よくネタを見ています。洋楽も好きで、エド・シーランさんやブルーノ・マーズさんの曲をよく聴きます。