群馬県から全国にはばたくアスリートを紹介するコーナー。さまざまな競技を対象にトップアスリートやその卵たちを取材し、競技に注ぎ込む情熱からオフの飾らない姿までをお伝えする。彼らがひたむきに練習に取り組む姿勢や試合での集中力、そして結果を受け止める表情は、どんな時でも私たちの心に元気や勇気を届けてくれる。群馬で育ったスポーツ界の若きエースを一緒に応援しよう。

宮澤 拓哉さん（25歳：前橋市在住）

　今回は、児玉企業（株）パークレーン高崎に所属するアマチュアボウラー・宮澤拓哉さんを紹介する。2013年から現在まで、全日本ナショナルチームのメンバーとして活躍（2013年、2014年はユース）。今年5月に行われた国内アマチュアボウラー最高峰の個人戦「NHK杯全日本選抜選手権」では初優勝を果たした。活躍を続ける彼の強さの秘訣（ひけつ）や素顔に迫る。

CAREER

競技歴：15年

【2012年】第45回 全日本新人選手権 少年男子の部 優勝 【2014年】第69回 国体 少年男子個人戦 優勝 【2017年】第72回 国体 成年男子個人戦 第2位 【2020年】第49回 全国都道府県対抗選手権 選手権者決定戦 優勝 【2021年】第58回全日本選手権 マスターズ戦 第3位、NHK杯 第54回 全日本選抜選手権 優勝

　ボウリングが趣味の祖父母と一緒にプレーしたことがきっかけで始めました。小学4年の時にパークレーン高崎のジュニアクラブに入り、その後は進学した桐生第一高校、上武大学でボウリング部を創部して取り組んできました。現在はパークレーン高崎で働き、上武大学でコーチとして後輩を教えながらプレーしています。

　自分からは言いにくいですが、周りからは小技を使うのがうまいと言われます。例えば、投球時の手首のひねり方を変えたり、ゆっくり投げたりする、といったものです。レーンにはオイルが引いてあるのですが、その引き方は大会によって異なります。オイルが引いてある距離や量でボールの走りやすさが異なるため、小技を使って曲がるタイミングを調節しています。

　2012年に行われた全日本新人選手権です。この大会の少年男子の部で優勝してからはナショナルチームに選ばれ、国際大会にも出場するようになりました。また、思い出深いのは2014年の国体です。3歳下の弟とペアで少年男子団体戦に出場し、4位に入賞できました。国体少年の部でペアを組むチャンスはこの年しかなく、入賞できて良かったです。

　NHK杯はレーンコンディションにうまく合わせることができ、力まずにいつも通りのボウリングができました。入賞したこともない大会だったので、優勝できてとてもうれしかったです。実はコロナ禍前の2019年は結果が出ず、投げ込みとジムでのトレーニングに力を入れていました。その後にコロナ禍でボウリングができなくなりましたが、走り込みと自宅での体幹トレーニングを続けました。この期間の努力も実を結んだと思います。

　まずは11月の全国都道府県対抗選手権の2連覇です。その後はプロ入りも視野に、海外でも活躍できる選手を目指して頑張ります。

NHK杯の会場にて（2021年5月）

　宮澤選手は体幹が強く、投げ方が柔らかいのが特徴です。ボウリングでは、ボールを投げる度にレーン上のオイルが削れていき、レーンコンディションが常に変化しますが、コースやスピード、回転数などを調整して柔軟に対応できます。また、以前より上を目指す気持ちが強くなってきたと思います。

■ 目標にしている選手は
全日本ナショナルチームで男子キャプテンを務める佐々木智之選手です。人間性やボウリングに対する姿勢に学ぶところがあり、多くの大会で結果を残しているので憧れの存在です。

■ 大会前に必ずすることは
おいしいものを食べに行きます。特に焼き肉やラーメンなど、好きなものを食べてモチベーションを上げています。

■ 普段の練習量や内容は
パークレーン高崎での仕事が休みとなる土・日曜や、大会前にもらう休みの期間を利用して練習しています。練習メニューは基本的に自分で考えます。大会前にはその会場のオイルの引き方が公表されるので、それを再現してもらい、そのレーンに合ったボールで投げ込んで感覚をつかんでいます。

■ ボウリング以外にやっていたスポーツは
小学生の頃、2年から6年まで野球をやっていました。4年からはボウリングと両立していましたが、中学に進学する際にどちらの道に進むか悩んだ末、ボウリングを選びました。

■ 休日の過ごし方は
音楽ゲームが好きなのでゲームセンターに行ったり、映画を見に行ったりします。