群馬県から全国にはばたくアスリートを紹介するコーナー。さまざまな競技を対象にトップアスリートやその卵たちを取材し、競技に注ぎ込む情熱からオフの飾らない姿までをお伝えする。彼らがひたむきに練習に取り組む姿勢や試合での集中力、そして結果を受け止める表情は、どんな時でも私たちの心に元気や勇気を届けてくれる。群馬で育ったスポーツ界の若きエースを一緒に応援しよう。

桒原 立貴君（前橋市立みずき中2年：前橋市在住）

　今回は前橋市の「群馬ジュニアスポーツクラブ」に所属する桒原立貴君を紹介する。小学6年生のときに初めて全国の舞台に立って以降、ジュニアナショナル強化指定選手に選出され、昨年8月には中学校体操競技選手権大会で初めての全国1位に輝いた。今後もさらなる活躍が期待される彼の、強さの秘訣（ひけつ）や素顔に迫る。

CAREER

競技歴：10年

2019 全日本ジュニア体操競技選手権大会 Aクラス 個人総合 8位、2019 U12全国ブロック体操競技選手権大会 個人総合 2位、2019 フューチャーカップ国際体操競技会  個人総合 8位、2021 全日本ジュニア体操競技選手権大会 2部 個人総合 2位、2021 全国中学校体操競技選手権大会 個人総合 1位

　父が若い頃体操をやっていた縁で、4歳の頃に体育館に行って体操に触れたのが最初です。その後、幼稚園で群馬ジュニアスポーツクラブの先生が体操を教えてくれる機会があり、それが楽しく小学生になる少し前に同クラブに入りました。本格的に体操に取り組んだのはクラブに入ってからです。

　男子体操の6種目の中でも、「あん馬」が得意なところです。一般的にあん馬は失敗しやすい種目ですが、だからこそ失敗しないように考えるのは楽しいし、成功したときの達成感が大きいです。苦手な人の多いあん馬が得意なのは強みの１つです。また緊張しにくいのも強みです。全国大会でもあまり緊張せず、練習でやってきた自分の体操を大舞台でも出せます。

　小学校6年生で出場した2019年の「全日本ジュニア体操競技選手権大会」です。全国大会に出場するのは初めてでしたし、中学生も参加する大会で好成績を残せたのでうれしかったです。この大会がきっかけでジュニアナショナル強化指定選手のトライアウトにも参加できたので、転機となった大会です。

　飽きが来ないところです。種目は6つですが、技の数はとても多く、ハイレベルな選手だと無限と言ってもいいくらいに技があります。どれだけやっても終わりがない世界ですし、だから飽きることなくずっと楽しめます。

　まずは中体連で優勝して2連覇を達成することです。また、昨年は2部で2位だった全日本ジュニア体操競技選手権に、今年は1部で出場するので、高校生のトップクラスも参加する中で自分の体操を出し切りたいです。将来はやっぱりオリンピック。ロサンゼルスオリンピックに出場し、金メダルを取れるように頑張ります。

　体操は芸術性も競う競技ですが、桒原選手は癖がなく素直な性格で、「奇麗な体操」も素直に会得することができています。自分で目標を持って達成できるように考えながら練習に取り組み、つらい練習も嫌がらず、皆の手本となっています。これからも人として成長してほしいです。それが体操にも反映され、本人が望む結果が待っていると思います。

■ あこがれの選手はいますか
内村航平さんと橋本大輝選手です。内村さんは、体操の経験者が見とれてしまうほど奇麗な動きで、見習いたいです。橋本選手は日本代表で一緒に練習したことがあり、その選手が東京オリンピックで金メダルを取ったことは刺激になりました。

■ 競技に臨むとき心がけていることは
ポジティブでいるように心がけています。試合前は「絶対に失敗しない」と考え、直前の練習で失敗したとしても「練習で失敗しておいたから本番では成功する」とプラス思考で競技に臨みます。

■ リフレッシュの方法は
練習後に温泉に行っています。炭酸泉に浸かり、サウナに入ると、体も心もスッキリします。

■ 学校の好きな科目は
家庭科です。普段とは逆に体を動かさずに作業するのも面白いです。ものを作るのが好きで、家庭科の中でも裁縫が特に好きです。

■ 最近熱中していることは
けん玉です。動画で見て面白そうだったので、やってみたらハマりました。動画を見ながら練習していて、結構うまくなってきています。