人口減少や高齢化に悩む地方に都市部から人を呼び込み、1年～3年の任期で地域活動に協力しながら定着・定住につなげることを目的とする「地域おこし協力隊」。2009年より総務省が始めた制度で、群馬県内でもさまざまな年代の隊員が活動している。このコーナーでは、まちの未来を盛り上げるべく日々奮闘する隊員たちにスポットを当て、地域ごとに紹介していきたい。

渋川市・地域おこし協力隊　長沼 未希さん（25）

　シリーズ3回目は、渋川市で観光振興に携わる長沼未希さんを紹介する。得意のカメラとデザイン制作で、まちの魅力を多彩に発信する長沼さん。弾けるような笑顔で活動の魅力を語る姿も印象的な長沼さんに、隊員を目指したきっかけや主な活動内容、今後の目標について話を聞いた。

PROFILE

　山梨県都留市出身。2019年8月から渋川市の協力隊員として活動する。座右の銘は一日一笑。好きなことは写真を撮ること、絵を描くこと、食べることなど。趣味は阿波踊りと料理。得意料理は俵型に作る大きめのコロッケ。

【リットリンク】https://lit.link/ngmk5190

　レストランを経営していた父の影響から、ゆくゆくは自分も店を持ちたいと考えていました。栄養士の資格も取りたいと思い、山梨県内の短期大学に進学。そこで所属したゼミ活動の一環で、地元農産物のPRに携わったことが地域づくりに関わるきっかけとなりました。生産者と連携しながら商品を開発し、イベントを企画して販売したのですが、地域と協力しながら行う活動がとにかく面白かった。卒業後は横浜の飲食店などで働きましたが、自分のやりたいことを模索する日々が続きました。そんな中、地域おこし協力隊員の講演を聞く機会があり、参加すると「これが私のやりたいことだ! 」と実感したんです。「活動したい地域を探して実際に訪れてみるといい」とアドバイスもいただき、観光分野で探すと、渋川市を始めいくつかの自治体がヒット。調査段階から伊香保温泉が気になっていたことや、現地見学の際に対応してくれた職員と先輩隊員の人柄にほれ、同市に決めました。

　観光振興としてイベント運営の手伝いや市内のPR活動が主な業務です。しかし、着任後にコロナ禍となってしまい、イベント開催が難しい時期に。落ち着いたら渋川に遊びに来てほしいとの思いからSNSでの情報発信に力を入れました。もともとイラストを描くことが好きだったので、SNSや協力隊の主催イベントで挿絵を担当することが多かった。それが好評で、イラストやデザイン制作の仕事をいただくようにもなりました。また昨年には、赤城地区の方々と協力し、敷島駅前の活性化イベントを実施。「やりたかったことがやっとできた」という充足感を感じたとともに、住民と作り上げる地域活動の楽しさを改めて感じました。それを機に、ほかの地域からも「イベントをやりたい」という声が上がり、いい相乗効果を感じています。

　写真は隊員になってから本格的に始めましたが、撮影や投稿方法を勉強したおかげでSNSのフォロワーが増えました。私の投稿を見て渋川に足を運んでくれ、「あそこ行ってみたよ! 」と声を掛けてもらえるとすごくうれしいです。私は、コロナで思うように活動できなかったこともあり2024年7月まで任期を延長しました。それまでに少しでも多くの「地域のために何かやりたい」という声を吸い上げ、夢のお手伝いができれば。そのためにも、もっと多くの市民と出会い、地域との関わりを増やしていきたいです。

　県中央部にある渋川市は、雄大な自然が満喫できる山間部と都心へのアクセスも良好な平野部が調和するまち。日本の名湯・伊香保温泉を始めとする観光地が点在するほか、日本三大うどんとして知られる水沢うどんなど地元グルメを堪能できる店やスポットも豊富です。

　一番は人の温かさ! 顔なじみの店も増え、会うたびに声を掛けてくれるのはもちろん「渋川に来てくれてありがとう」と言われることも。市内は渋川・伊香保・小野上・子持・赤城・北橘と6地区で構成されていますが、それぞれに特長があるのも魅力だと思います。

　JR渋川駅前にある居酒屋。47都道府県の純米酒が楽しめ、手作りにこだわった創作料理やつまみが多彩にそろう。おすすめは旬の食材を使った日替わりメニュー。日本酒が定期的に入れ替わるほか、リーズナブルな価格帯やアットホームな雰囲気も魅力だ。昼呑みやご飯だけの利用も〇。

【住所】渋川市渋川1826-27 2階
【営業時間】15：00（水曜は17：00、土・日曜は14：00）～23：00
【休み】第2・5月曜、毎週火曜
【問い合わせ】090-1790-6701

　JR敷島駅の開業99周年を記念して開催されるイベント。当日は駅前が歩行者天国となり、キッチンカーや屋台がずらりと並ぶほか、子供向けブースや鉄道関係の展示ブース、屋外サウナが登場。アンブレラスカイなどフォトスポットも企画、阿波踊りショー、パンまつりも同時開催される。

【日時】3月26日（日曜）10：00～16：00
【会場】JR上越線「敷島駅」前
【住所】渋川市赤城町敷島地内
【問い合わせ】シキシマエキマエピクニック実行委員会（森の香）0279-26-9360