群馬で生まれ、群馬で育った地元企業の歴史やこだわりを紹介するコーナー。今回は、子供から大人まで楽しめるP-BLOCK（ピーブロック）を企画販売する「株式会社テラテック」を紹介。P-BLOCKはカラフルな3種類のピースを使い、アイデア次第でさまざまな形を作れる知育玩具だ。会社設立のきっかけや、想像を形にするP-BLOCKを生み出すまでの経緯、会社が目指す先を取材した。

　「株式会社テラテック」は、寺田房夫代表が大泉町の三洋電機東京製作所（現在はパナソニック東京製作所）を退職後の2006年、経験を生かし環境に配慮した雑貨や玩具を開発しようと設立した。最初はLEDを使った光るフォトフレーム、次に製品化したのが2014年に発売したP-BLOCKだった。

　はめ合わせ用の切れ込みを入れた厚さ5mmのブロックは、安全性の高いABS樹脂製で、主に大・中・小の3種類。470ピースで組み上げる高さ約66cmの東京タワーや、数ピースの花・昆虫ほか、さまざまな大きさの建物や生き物を作れ、“4歳から99歳まで”指と想像力を使って遊べると人気だ。

　ヒットのきっかけは多色展開。初期のP-BLOCKは白、黒、ピンク、水色の4色だったが、出展したギフトショーで「黄色や緑色、茶色などのサファリカラーが欲しい」という声があり、色数を増やした。「リクエストのおかげで使える色が増え、『完成型』がモデルに近付き、必要なピースをセットにした商品が売れるようになった」という。現在は11色で展開し、より多彩な表現ができる。どんな形を「完成型」として新しいセット商品にするかは、寺田代表と息子の淳一さんの2人で考えることが多い。

　学童保育所などに遊び方を教えに行くと、子供たちが作り上げる形に驚くことがある。「発想の豊かさは、子供にはかなわない」と寺田代表。そんなユーザーとの触れあいを大切にしたいため、無理な営業活動はしないが、「おうち需要」もあって全国から購入希望があり、販売数は増えているという。

　現在はP-BLOCKの構造を元に国産ヒノキ間伐材のブロックを開発中だ。親子2人の会社が作る無限の組み合わせが、子供たちの想像力を創造力に変えて羽ばたかせている。

安全と組みやすさを両立する独自の構造

　子供が遊ぶブロック玩具なので、当初からとがった角が体に当たらないよう45度の角度で“面取り”している。この構造は安全であると同時に、パーツを組み合わせたときに90度を作りやすい利点がある。実用新案に登録した独自構造。

国産ならではの精密な作り

　ブロックは、はめ込んだらしっかりかみ合い、かつ子供の力で外しやすい精度が必要。現在、製造は桐生市新里町新川にある委託工場で行っており、十分に話し合いながら安全で精度が高い商品を作っている。

■これまでに世に出たブロックのピースは、大・中・小のパーツがあるので個数では分からないが、容積200ℓのお風呂に換算すると約200杯分に相当する。

■寺田代表がブロック玩具を作ろうと思ったきっかけは、「孫と一緒に遊べるものを」との思いから。

■寺田代表は工学博士。熱エネルギーを高効率で仕事に変える「スターリングエンジン」の研究者で早稲田大学環境総合研究センターの招聘研究員にも名を連ねる。

■寺田代表は構造がハッキリした建築物などを、淳一さんは恐竜などの曲線的な生き物をP-BLOCKで作るのが得意で、それぞれの得意分野で新商品を企画している。

P-BLOCKの組み合わせは自由だが、初めてなら組み立て説明付きのセット商品がおすすめだ。人気の3商品と販売が近付く新商品を紹介する。★印は同社HPからECサイトで購入できるほか、美術館・博物館や動物園、道の駅などで販売中。

カプセルトイ

カプセルにピースと組み立て説明シートが入った、手軽なセット。生き物5種で展開する20数ピース入りカプセルは、ぐんま昆虫の森ほかで販売。300円。4歳以上対象。

袋入りセット★

50～200ピースが袋に入ったセット。先ごろアニメ放送も始まった、ぐんまちゃんがモデルの商品は、1つのセットで平面と立体、両方を作れる。990円。他に「恐竜」「雷門」なども。4歳以上対象。

箱入りセット★

300～500ピースで恐竜や建物が作れるセット。329ピースの「メガTREX（ティーレックス）セット」は全長約50cmの迫力のある恐竜に。4,400円。「東京タワー」などのセットもある。4～6歳以上対象。

新商品「木のブロック」

ヒノキ間伐材を使い、木のぬくもりや柔らかさ、香りを感じられるブロックを開発中。樹脂版よりも大きく、小さな子供も安心して遊べる。「まずは保育園・幼稚園に展開予定です」と寺田代表。

【取材協力】株式会社テラテック　太田市高林南町619-35
問い合わせ／0276-38-1838
HP／http://terratec.co.jp/