群馬県から全国にはばたくアスリートを紹介するコーナー。さまざまな競技を対象にトップアスリートやその卵たちを取材し、競技に注ぎ込む情熱からオフの飾らない姿までをお伝えする。彼らがひたむきに練習に取り組む姿勢や試合での集中力、そして結果を受け止める表情は、どんな時でも私たちの心に元気や勇気を届けてくれる。群馬で育ったスポーツ界の若きエースを一緒に応援しよう。

青木 虹光さん（明和県央高1年：高崎市在住）

　今回は高崎市の「県央スイミングスクール」に所属する青木虹光さんを紹介する。中学1年生で頭角を現し全国大会で優勝、今年2月の「ジャパンオープン」では1,500m自由形で日本中学新記録（16分25秒62）を打ち立て、4月の日本選手権でも社会人や大学生も参加する中、3位に輝いた。4月から高校に進学し、さらなる活躍が期待される彼女の強さの秘訣（ひけつ）に迫る。

CAREER

競技歴：11年

　【2018年】第58回全国中学校水泳競技大会 800m 優勝【2019年】第59回全国中学校水泳競技大会 400m準優勝 800m 優勝【2021年】ジャパンオープン2020 （2021年2月開催）800m 4位 1,500m 3位（日本中学新）、第97回日本選手権水泳競技大会 1,500m 3位　800m 6位
※種目はすべて競泳、自由形。

　2人の姉が水泳を習っていたので、私も5歳の頃スイミングスクールに通い始めました。小学3年生のときに良い記録を残し、大会に出場する選手として練習するコースに移り、本格的に競泳を始めました。

　長距離の自由形です。身体能力や瞬発力が大切な短距離より、持久力が必要でペース配分を考えながら泳ぐ長距離のほうが私に合っています。どうすればタイムが良くなるかを考えて実行し、結果が出たときの達成感は長距離ならではの面白さだと思います。

　ポジティブなところです。以前コーチに「もっと前向きに考えたほうがいい」と言われ、マイナスなことを考えないようにしたり、「疲れた」と感じたときも「疲れていない」と言い聞かせたり。考え方を変えてから結果も良くなりました。技術面では水面に近い高さで体をキープできるボディポジションを褒められることがありますが、全体的にまだまだです。改善できる部分が多いので、これからもっと良い記録を狙えると思います。

　中学1年生のとき、全国レベルの大会（全国中学校水泳競技大会）で初めて優勝しました。県予選で調子が落ちてしまったのですが、全国大会の予選で調子が戻り、いい気分で決勝のレースを泳ぎ切りました。優勝はうれしかったです。水泳に対する考え方が変わり、それまでは「自己ベストを狙う」と練習していましたが、「大会で勝ちたい」「中2でも全国大会で優勝したい」と勝ちを意識するようになりました。

　今は6月のジャパンオープンに向けて練習しています。目標はそこでの優勝と「インターナショナル強化標準記録」を突破して強化指定選手になることです。目標をしっかり持って日々の練習に臨みたいです。

　青木さんは負けず嫌いで前向きな性格。大舞台でも平然と泳ぐメンタルの強さは一番の武器です。技術面では水をつかむ感覚に優れていますが、体幹の弱さや軸のブレなど課題はたくさんあります。逆に言えば伸びしろが多い。現段階でも好成績を収めているので、これからもっと伸びていくと思います。技術が身に着けば3年後のオリンピック出場も狙えると期待しています。

■ あこがれの選手はいますか
アメリカのケイティ・レデッキー選手です。私と同じ自由形で、短距離から長距離まで世界大会で優勝しているすごい人。私も色々な距離で結果を出せるようになりたいです。私の場合はスピードが足りないので、まずはスピードも必要な400mで結果を出すことが課題です。

■ モットーは
何でも楽しむことです。学校行事や水泳の練習など、どんなことも楽しめるように考えています。厳しい練習だと弱気になることもありますが、「いいタイムで泳げるようになると楽しい」と、つらい部分ではなく楽しい部分に目を向けるようにしています。

■ 休日の過ごし方は
音楽を聞いたり、動画を見たり、本を読んだりと色々です。基本的には水泳に関係ないことをして、気分転換をします。

■ 学校の好きな科目は
理科です。身の回りの生き物や現象など、身近なことが分かる感覚が楽しいです。水泳に限らず体を動かすのは得意なので、体育も好きです。

■ 競技前に必ずすることは
十分にストレッチをして競技に臨みます。招集所でのルーティンなどは決まっていませんが、腕回しなどの軽い運動は毎回同じ動きをするようにしています。