群馬県から全国にはばたくアスリートを紹介するコーナー。さまざまな競技を対象にトップアスリートやその卵たちを取材し、競技に注ぎ込む情熱からオフの飾らない姿までをお伝えする。彼らがひたむきに練習に取り組む姿勢や試合での集中力、そして結果を受け止める表情は、どんな時でも私たちの心に元気や勇気を届けてくれる。群馬で育ったスポーツ界の若きエースを一緒に応援しよう。

上正原 真人さん（23歳：高崎市在住）

　山岳を駆け抜け、フィニッシュするまでのタイムを競うスポーツ、スカイランニング。今回は、そんなスカイランニングの日本代表・上正原真人さんを紹介する。上正原さんは上智大4年生だった昨年、日本選手権で優勝。競技を始めて約1年で、来年スペインで開催される世界選手権の日本代表権を獲得した。スカイランニング界に彗星（すいせい）のごとく現れた彼の素顔に迫る。

CAREER

競技歴：2年

　志賀高原エクストリームトレイル（日本選手権） ミドル32km男子 優勝（2019年）、第6回 尾瀬岩鞍バーティカルキロメーター エキスパートコース5km男子総合 3位（2020年）、志賀高原エクストリームトレイル（日本選手権） ミドル32km男子 優勝（2020年）

　大学3年生の時に、未舗装路を走る「トレイルランニング」の大会に出場したことです。小さい頃から走ることが大好きで、高校まではサッカーをやっていました。大学進学後はサッカーと距離を置きましたが、走ることへの気持ちは変わらず、自主的にランニングを続けていました。そんな中、トレイルランニングの大会を見つけ、参加してみたところ、まるで自分が動物になったかのように山を駆け下りる初めての感覚に引き付けられました。その後、より山岳コースに特化した競技を探し、スカイランニングにたどり着きました。

　競技を始めて間もない頃は、書籍や海外選手のSNSなどで、食事の取り方やトレーニングの情報を集めて実践していました。具体的には、レース後半を想定した走り込みなどを取り入れました。大学卒業後は高崎市に戻り、ほぼ毎日トレーニングをしています。週2～3日は山に入り、水沢山や谷川岳、浅間山などを走ります。それ以外は自宅周辺をジョギングしたり、低酸素ランニングジムでトレーニングをしたりしています。

　岩場や雪面、泥場などの過酷な環境を走る、クレイジーかつエキサイティングなところです。日ごとにコースのコンディションが異なるため、誰が勝つか分からない面白さがあります。また、標高2,000mほどの高所を走るので景色が良く、違う世界にいるかのような感覚を味わうことができます。

　サッカーや走り込みで鍛えた心肺能力の高さと精神力です。自分を追い込むことが得意なので、つらい時でも耐えて力を発揮することができます。

　直近では、来年に延期となった世界選手権と、ワールドシリーズで良い成績を残すことです。世界選手権の延期は残念でしたが、1年あればさらに強くなり、世界を驚かせる自信があります。最終的には、スカイランニングでもトレイルランニングでも、山を走る競技ならどんなものでも勝てる絶対的な強さを身に付けることが目標です。

■ 今まで走った中でいちばん好きな山は
長野県の白馬岳です。雪が1年中溶けずに残る“雪渓”があり、日本三大雪渓に数えられていて迫力満点です。

■ レース前に必ずすることは
レースプランや、どのような気持ちで挑むのかを手に書いて臨みます。つらい時はそれを見て喝を入れ直しています。また、当日は朝風呂に入り、気持ちをリフレッシュしてから出かけます。

■ オフの過ごし方は
映画を見たり、最近始めたギターの練習をしたりしています。ギターは、「オフの時に走りすぎないように」と仲間からもらいました。

■ 勝負めしは何ですか
親子丼です。たんぱく質と糖質がバランスよく取れて消化もしやすいメニューです。料理が好きなので、自分で作ることもあります。