群馬県民なら誰もが知っているあんなものやこんなもの……。それらを制作している地元企業の歴史やこだわりを紹介するコーナー。今回は、群馬県民の情報源として欠かせないラジオ番組を制作・放送している「株式会社エフエム群馬」をご紹介。番組が放送されるまでの工程や、同社のこだわり、秘密を取材した。群馬県で、多くのリスナーから愛される番組を発信するエフエム群馬。その魅力に迫る。

　「株式会社エフエム群馬」は前橋市に本社を置くFMラジオの放送局で1984年に設立。群馬県は、他県に比べて車社会化が進んでいたことから、車でラジオを聞く人をメインターゲットに設定し、1985年から放送を開始した。県内にAMラジオの放送局がないことから、FMラジオの放送局としては珍しく、社内に報道部を設置。地元の情報を詳細に伝えられるだけでなく、突発的なニュースにもスピーディーな対応が可能になっている。開局当時は、朝の時間帯のみの放送で、内容も地元のニュースや地域の話題を伝えるだけだったが、その後は放送時間も徐々に拡大。情報番組や、バラエティー番組なども放送されるようになり、多種多様な番組を扱う現在の放送スタイルを確立。1995年には、本社ビルの1階にオープンスタジオ「クラブエアー」を開設すると、番組観覧や交流の場として、多くの人々が訪れるようになっていった。

　同局ではイベントの開催も積極的に行っている。毎年、1万人以上の来場者が訪れる「ツナガリズム祭り」を始め、2016年に行った群馬交響楽団とバラエティー番組「チャンネル148」のコラボ公演では、その異色の組み合わせが大きな話題となった。さまざまなことにチャレンジする背景には「皆が共感できて面白いことはやってみる」という同局の社風がある。今後も多方面にわたって、リスナーを楽しませてくれそうだ。

　また、群馬県のリスナーは、メッセージやネタの投稿に積極的で「ラジオは参加して楽しむもの」という意識が強いのも、同局が支持される要因の1つ。こうした“参加型ラジオ”の文化が根付いた結果、現在では、ほかの放送局を抜いて群馬県内で圧倒的な聴取率を獲得しており、県民から厚く支持されている。

番組進行表のデジタル化を実現

　エフエム群馬では番組の進行表である「CUEシート」を全てデジタル化している。進行表の作成を簡略化できるだけでなく、内容に変更があった場合もスピーディーに編集が行えるようになっている。業界でも先進的な機材を使用しており、都内の放送局が見学に来たこともある。

音楽やCMをデータ化して管理

　放送中に流す音楽は、CDをデータ化して「音源サーバー」に蓄えている。これにより、即座に音楽を引き出すことができる。また、コマーシャルも「CMバンク」という機材でデジタル管理。同局では、常に新しい技術を意欲的に取り入れて運用している。

■番組宛てのメッセージやネタの投稿メールは、月に約4万件を超える。そのため、社内に自社サーバーを保有しており、膨大な数のメールを管理している。
■2022年に本社の移転を予定しており、クラブエアーのようなオープンスタジオだけでなく、リスナーが楽しめるようにさまざまな設備や地域の活性化につながるイベントなども検討している。

　毎週月曜～水曜16時～18時55分放送中。県内のトピックスやイベント情報を発信する情報バラエティー番組。月曜担当の岡部哲彦アナウンサーと佐藤彩乃アナウンサーに取材した。

❶定期的に開かれているスタッフ会議で決定した企画は、アナウンサー自身が取材を行い、原稿や音声データを作成。本番の1時間前、それらの資料を元に情報に誤りがないか読み合わせをしながら、時間配分や原稿の修正を行う。

❷作成した資料や原稿と、進行表を照らし合わせながら、進行上問題がないか技術スタッフと最終打ち合わせを行う。当日の番組の流れや、変更点などがあった場合はここで各自に情報が伝えられ共有される。

❸放送中に読むメッセージをリスナーから募集するため、本番直前にSNSに掲載する写真を撮影。写真の内容やレイアウトは、メッセージテーマが伝わりやすいように、アナウンサーが考えて工夫している。

❹こうして放送を迎えたラジオ番組「ユウガチャ!」。エフエム群馬では、地域の情報を伝えるだけでなく、リスナーが共感しやすいテーマを発信することで、思わず参加したくなるような番組作りを行っている。

【取材協力】株式会社エフエム群馬　本社／前橋市若宮町1-4-8